著者:小路 幸也

 『カレンダー・ガールズ』という英国映画があったが、本作は全くそれとは関係がないので念のため…。本作は、中年の男性2人が、同時に少年時代にタイムスリップして、あの3億円事件を阻止し、クラスメートの少女を救うというお話である。

 タイムスリップものは数々あれど、2人同時に心だけがタイムスリップし、毎日寝るたびに過去と現在を往復するという話は珍しい。浅田次郎の『地下鉄に乗って』とやや似てはいるが、心だけタイムスリップというところが全く異なっている。なおタイムスリップして三億円事件に関与するという展開では、清水義範の『三億の郷愁』そのものだが、犯人側と阻止する側という根本的な違いがある。

 また昭和時代のノスタルジーに浸るという展開では、広瀬正の『マイナスゼロ』を彷彿してしまう。なかなか楽しくて、一体どのような結末を迎えるのか、ワクワクしながらページをめくり続けた。
 だがラストの収束がかなり大雑把で判り難いのだ。なんだか急に面倒くさくなって、適当に幕を下ろしてしまった感がある。それまでは、かなり面白い話だったので、非常に残念な気分になってしまった。アイデアは素晴らしいし、実にもったいない作品である。本ブログの評点システムは、中間点が付けられないのだが、正確には★★★☆(3.5)くらいかもしれない。

評:蔵研人