製作:2003年米・英国 上映時間:92分 監督:ローランド・ズゾ・リヒター

 ケン・グリムウッドの小説『リプレイ』が映画化された訳ではなく、全く違う作品なので間違えないように。どちらかというと、『メメント』風味の記憶パズルゲームといった趣向の映画である。

 交通事故に遭ったサイモンは、一時的に心停止状態となるが、懸命の措置を受け奇跡的に回復する。だが2年間の記憶を失ってしまった。そして彼の前には、妻を名乗る見知らぬ女性が登場し、サイモンが浮気をしていることや、兄のピーターが2年前に死んでいることを告げるのだった。
 どうしても消えた記憶に納得のいかないサイモンが悩むうち、MRI検査を受けるときに何者かに襲われ、突如として2年前の病院に逆戻りしてしまう。そこで彼の前に現れた看護師は、さきほど妻を名乗ったアナであった。

 兄の死、妻のアナや恋人クレアとの関係、担当医でなぜか小児科医のニューマンの存在など、なんだかよく分からないことだらけなのだ。2年前を行ったり来たりし、観客を翻弄するような、この時間軸パズルを解き明かすことは出来るのだろうか。もし一度観ただけで、このパズルを完璧に解ける人がいたら大天才であろう。

 本作では主人公が、過去と現代を行ったり来たりする。そして自分の責任で引き起こした兄の死の原因を、過去に遡って修正しようと試みるのだ。このあたりの展開は、この直後に創られた『バタフライエフェクト』に、かなりの影響を与えているような気がする。
 またこの作品は、『マルホランド・ドライブ』、『ドニー・ダーコ』などのダークな雰囲気を好むマニアにはお勧めかもしれないが、かなり好き嫌いの分かれる作品かもしれない。私自身はちょっと後味が悪くて、何でもありの夢落ち風ラストにも今一つ乗り切れなかった。

評:蔵研人