タイムトラベル 本と映画とマンガ

 本ブログは、タイムトラベルファンのために、タイムトラベルを扱った小説や論文、そして映画やマンガなどを紹介しています。ぜひ気楽に立ち寄って、ご一読ください。

 タイムマシン、タイムトラベル、タイムスリップ、時間ループ、パラレルワールド、時間に関係する作品を収集しています。まだまだ積読だけで読んでいない作品がたくさんあるのですが、順次読破したら本ブログにて感想を発表してゆきますね。

ジパング4

作者:かわぐちかいじ

 2002年に第26回講談社漫画賞一般部門を受賞した戦記マンガである。と言っても、単なる戦記物ではなく、自衛隊のイージス艦が隊員を乗せたまま、第二次世界大戦の真最中である1942年にタイムスリップしてしまうところから始まるのだ。
 レーダーやミサイルという現代兵器を搭載しているイージス艦にしてみれば、当時の米軍戦艦や戦闘機など物の数ではない。ところが自衛隊員たちには、自衛のため以外の戦闘はしてはいけないという戒律が沁み込んでいるため、積極的な攻撃は全く出来ないのであった。

 また自衛隊員に救助され、歴史のからくりを覗いてしまった帝国海軍の草加拓海少佐は、原爆による日本の敗戦を知ってしまう。だが彼は歴史をねじ曲げても大日本帝国を守り、新しいジパングを目指すことを決意する。そして米国より先に原爆を創り上げ、それを戦艦大和に乗せて米国軍へ向かうのであった。
 だがそれを阻止するのは米軍ではなく、未来から来た自衛隊員という皮肉。その結果として歴史は大きく捻じ曲げられることはなかったのだが、それと引き換えのように、たった一人の隊員だけを残し、全ての自衛隊員は死亡して、歴史から抹殺されることになってしまうのである。

 なかなか興味深いストーリーであり、歴史上の人物も数多く登場するので大いに勉強になるのも嬉しい。従って全43巻という大長編にも拘らず、あっという間に読破してしまった。
 だが何となく物足りない。自衛隊員が余りにも保守的過ぎて、ほとんど米軍を攻撃しないどころか、歴史を守るために逆に米軍を守るという結果になるのが歯がゆいのだ。

 どうせマンガなのだからと言っては失礼だが、この際歴史なんぞどうでもいいじゃないの。いずれにせよタイムスリップしたこと自体が荒唐無稽なのだから、米軍を完璧に叩き潰し日本軍を勝利に導いてくれたほうが溜飲が下がるというものだ。
 そして変貌してしまった未来、つまり歴史に存在しない『ジパング』の姿を紹介し、パラドックスで捻じりながら締めくくって欲しかった、という気分で一杯なのである。まあ43巻の大作なので仕方がないものの、ちょっと真面目過ぎたのか、或は気取り過ぎたのではないだろうか。

評:蔵研人

やみなべの陰謀3


著者:田中哲弥

 江戸時代から現代に、千両箱を持ってやってくる、アロハシャツの大男の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』である。それにしても、このタイトルは意味不明だ。
 この話は5話の短編で構成され、それぞれ主人公が微妙に入れ替わる、一種のオムニバスである。

 第1話「干両箱とアロハシャツ」は、栗原守という青年が主人公で、何やらヤーさんの抗争に巻き込まれてしまう。それから、「ドブさん」という正体不明の変なおじさんが登場し、落語のような雰囲気で話が進んでゆく。
 第2話「ラプソディー・イン・ブルー」も、栗原守が主人公だが、第1話との関連性がない。どちらかというとラブコメ風のタッチだが、文体は筒井康隆風のハチャメチャ・ナンセンス調である。大村井君という気持ちの悪い、オタク風の友人が登場するが、5話中一番面白かった。
 第3話「秘剣神隠し」は、江戸時代の悲恋物語。ここで、タイムスリップしてくるアロハシャツの正体が、寺尾俊介という巨漢武士であることが判明する。
 第4話「マイ・ブルー・へヴン」は、近未来の話。訳の判らん大阪府知事が、極端な独裁体制を敷く。余りにも非現実的で、残虐なので一番嫌いな話だ。
 第5話「干両は続くよどこまでも」は、また現代に戻った寺尾俊介が、このタイムトラベルの解明をする。しかしこの収束には不満が多い。

 小説で一番いけないのは、実は夢だった。という終わり方だ。この話が夢だった訳ではないが、結果としては似たような結末になるのである。またせっかくドブさんや大村井君というユニークなキャラを登場させたのに、彼等は正体不明のまま中途半端に切捨てられている。
 第1話から第3話までは、かなりお面白く読ませてもらったが、どうもそれ以降の話が退屈で最後の収束もいい加減な感じがする。
 この田中哲弥という作家、どうも基本的になまけもののようである。適当にストーリーをはしょるので、長編ものは書けそうも無いし、15年間で本書以外に4冊位しか書いていないのだ。たぶん本気になって小説に取り組めば、味の良い短編が書けると思うのだが・・・。

評:蔵研人

サマータイムマシン・ブルース4

サマー

製作:2005年 日本 上映時間:107分 監督:本広克行 主演:瑛太、上野樹里
 ある程度の内容がわかっていて、かつタイムトラべルに興味がある人でないと、全く見向きもしないB級映画だ。多分興行成績は、惨澹たるものだったろうな・・・。それを乗り越えて、この映画を作った人は実に偉い!
 前半は途中で画面が真っ暗になるシーンがいくつかあり、受けの悪いドタバタギャグが続くので、うんざりしてしまった。ただこの真っ暗になるシーンが、後半に種明かしされる「問題の事件」があった部分なのだから仕方ないのだが・・・。

 ところが中盤にタイムマシンが登場してから、この作品は俄然面白くなるので、それまでは絶対投げずに我慢して観ていて欲しい。しかしこのタイムマシンに乗って、25年後の未来からやってくる田村君のなんとダサイこと。着ている服もへアースタイルも、未来人というより、逆に一昔前の人のようなのだ。しかし、彼のほのぼのとした人柄と、このダサいスタイルがマッチして、この作品ならではのいい味を出していたと思う。
 また未来人のくせにデジカメでなく、アナログの古いカメラをぶら下げていたのも変な感じなのだが、これはラストの「落ち」に繋がる小道具ということで、納得するしかないだろう。

 それにしても自転車のようなタイムマシンを使って1日前に戻るだけのお話なのだが、この中にはタイムパラドックスや、時間流のねじれ現象などが、面白おかしく見事に描かれているので、なかなか見応えがあるのだ。
 この作品を作った人は、H・Gウェルズの『タイムマシン』と、ロバート・A・ハインラインの『時の門』、広瀬正の『マイナスゼロ』が、きっと大好きな人なのだろうなと確信してしまった。

 特に「昨日と今日の瑛太」と「カッパの謎」と「リモコンの時間旅行」は、なかなか凝ったアイデアだ。ひとつ理屈が合わなかったのは、ラスト近くに屋上で別れたはずの田村が、どうしてタイムマシンごと部室に戻ったのかということ。
 本来なら、タイムマシンで屋上に戻ってから、歩いて部室へ行かねばならないのだが、それでは格好がつかないので、あえてああいう形をとったのだろうか。このあたりのシーンには、バック・トゥ・ザ・フューチャーの影響を感じるね。
 製作費の少ない、コミカルでファンタジックな作品ではあるが、今までに余り観た事のない珍しい、そして面白い映画だった。あっ、そうそう言い忘れたが、上野樹里ちゃんが、いつもよりずっと可愛く感じたのは何故だろうか。

評:蔵研人

JIN-仁-5


作者:村上もとか

 いきなり2000年の現代から幕末の時代にタイムスリップしてしまった脳外科医・南方仁の活躍を描いたマンガである。僅かながらだが、現代の医療器具を持っていたことと、主人公南方仁の近代医療知識のお陰で、彼は一躍幕末時代の天才医師となってしまう。

 単行本は全20巻の大長編マンガで、その医療知識も豊富で的確である。また2011年5月には、第15回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞している。
 勝海舟、坂本龍馬、西郷隆盛など、歴史上の重要人物も大勢登場するが、タイムパラドックスが起こらないように上手く配慮されたストーリー構成になっている。

 本作では近代医学知識を駆使する南方仁が、医療設備のない幕末時代で、当時の難病をどのように克服してゆくのかが注目の的になる。また彼と美少女・橘咲の淡い恋心と、その行方にもかなり心が惹かれてしまうのだ。
 さらに三隅俊斉という悪医師が、かなりしつこく最後まで主人公を抹殺しようと企む展開にもハラハラ・ドキドキさせられてしまった。そしてラストの見事な収束やどんでん返しには、思わず拍手喝さいを送りたくなってしまうだろう。

 また本作はTBS系の「日曜劇場」枠(毎週日曜日21:00 - 21:54)で、第一期が2009年10月11日から12月20日まで放送され、第二期は2011年4月17日から6月26日まで放送されている。主人公の南方仁役は大沢たかお、橘咲役に綾瀬はるかという豪華キャストであった。視聴率20%超えを果たすなど、もしかするとマンガよりTVドラマのほうが有名かもしれない。

評:蔵研人

ある日どこかで5


著者:リチャード・マシスン 訳:尾之上浩司
 映画のほうは、ご存知スーパーマンことクリストファー・リーブ主演で1980年に上映され好評だった。ところがリチャード・マシスンの原作本のほうは、世界幻想文学大賞を受賞したにもかかわらず、邦文翻訳されたのが2002年だというのである。
 従って私もこの本を手にするまでは、原作者がマシスンだとは思わなかった。マシスンといえば、ミステリーゾーンの脚本や『激突』、『縮みゆく人間』、『地獄の家』などで名を馳せており、まさか本書のようなラブファンタジーを書くとは思えない作風だからである。

 まずストーリーを簡単に紹介してみよう。
 脳腫瘍に冒され余命数ヶ月の主人公R・C・コリアは、あてのない旅の途中で立ち寄った古いホテルで、1896年にそのホテルの劇場の舞台に立った女優エリ一ズ・マッケナのポートレイトを見て一目惚れしてしまう。そして彼は、彼女のことやその時代のことをいろいろとと調べるうちに、75年前にこのホテルの宿泊者名簿に自分の名前を見つけるのだった。
 そのことがきっかけとなり、彼は必死で75年前に遡るように念じて、望み通りに過去にタイムスリップするのである。そしてついにホテルの近くにある海岸通リで、美貌の女優・エリーズに巡り合うことになるのだ。

 もしタイムスリップという現象さえなければ、この作品は恥しいほどバリバリの恋愛小説といえよう。またR・C・コリアがエリーズを求め続ける心の葛藤や、エリーズの乙女心が少しずつ変化してゆき、完全燃焼してゆくまでの描き方も実に見事である。
 これらの心理描写は、映画ではなかなか表現出来ない。まさに本書は、美しい映像で映画を観たあとに、じっくりと読み返して再び感動を得るためのアイテムといえるだろう。この際もう一度映画のほうも観直しておこうと思う。

評:蔵研人

マイナスゼロ5

著者:広瀬正

 オールドジャズファンなら記憶の彼方に残っているかもしれないが、著者は『広瀬正とスカイトーンズ』のリーダーであり、テナーサックス奏者として鳴らしたことがあるという。残念なことに43才の若さで他界しているが、存命中は『マイナスゼロ』、『ツィス』、『エロス』と連続三回も直木賞候補にノミネートされている。
 また著者はタイムマシンに異常な執着心を持っており、故人となった彼の棺には「タイムマシン搭乗者 広瀬正」と書かれた紙が貼られていたという。

 さて『マイナスゼロ』の主人公は、タイムマシンに乗って、現在(昭和38年)から昭和7年へタイムトラベルするのだが、登場人物や出来事については、タイムパラドックスを回避すべく、用意周到でかつ綿密に伏線が準備されている。そして始めから終わりまで、息もつかせぬスピーディー感のある面白いストーリー構成。
 さらに全編に趣味の良いパロディー風味が漂い、ラストにはなんとどんでん返しが3度も続くのだ。またその全ての事象が寸分の狂いもなく、驚くほど緻密かつ完璧に収束されてしまうのである。
 
 とにかく唸るほど見事な職人芸である。この安心できる爽快感が、最高のカタルシスへと導いてゆくのだ。まさに本作こそ、和製タイムトラベル小説の金字塔と断言しても許されるだろう。
 また本作は、時間テーマSFなのであるが、丹念に描写された古き良き時代の東京風物詩や、ミステリー風の謎解きもブレンドされており、余りSFに馴染みのない読者にも口当たりの良い印象を与えるものと確信する。とにかく呆れるほど凄い小説なのである。

評:蔵研人

Re:プレイ3

製作:2003年米・英国 上映時間:92分 監督:ローランド・ズゾ・リヒター

 ケン・グリムウッドの小説『リプレイ』が映画化された訳ではなく、全く違う作品なので間違えないように。どちらかというと、『メメント』風味の記憶パズルゲームといった趣向の映画である。

 交通事故に遭ったサイモンは、一時的に心停止状態となるが、懸命の措置を受け奇跡的に回復する。だが2年間の記憶を失ってしまった。そして彼の前には、妻を名乗る見知らぬ女性が登場し、サイモンが浮気をしていることや、兄のピーターが2年前に死んでいることを告げるのだった。
 どうしても消えた記憶に納得のいかないサイモンが悩むうち、MRI検査を受けるときに何者かに襲われ、突如として2年前の病院に逆戻りしてしまう。そこで彼の前に現れた看護師は、さきほど妻を名乗ったアナであった。

 兄の死、妻のアナや恋人クレアとの関係、担当医でなぜか小児科医のニューマンの存在など、なんだかよく分からないことだらけなのだ。2年前を行ったり来たりし、観客を翻弄するような、この時間軸パズルを解き明かすことは出来るのだろうか。もし一度観ただけで、このパズルを完璧に解ける人がいたら大天才であろう。

 本作では主人公が、過去と現代を行ったり来たりする。そして自分の責任で引き起こした兄の死の原因を、過去に遡って修正しようと試みるのだ。このあたりの展開は、この直後に創られた『バタフライエフェクト』に、かなりの影響を与えているような気がする。
 またこの作品は、『マルホランド・ドライブ』、『ドニー・ダーコ』などのダークな雰囲気を好むマニアにはお勧めかもしれないが、かなり好き嫌いの分かれる作品かもしれない。私自身はちょっと後味が悪くて、何でもありの夢落ち風ラストにも今一つ乗り切れなかった。

評:蔵研人

リプレイJ3

全12巻 著者:今泉伸二

 ケン・グリムウッドの小説『リプレイ』の版権を持つ新潮社が、主人公を日本人に変え、ストーリーも大幅に改編して、今泉伸二に描かせたコミックである。

 本家であるケン・グリムウッドの『リプレイ』は、冴えない主人公が43才になると死亡し、記憶を持続したまま25年前の自分の体に、タイムスリップしてしまうというお話だ。そしてこの死亡とタイムスリップの繰り返しを、約10回も行うのである。
 未来の出来事を記憶しているわけだから、賭け事や株で大儲けし、好みの女性も思いのままである。しかし結局のところ、それでは本当の満足感が得られず、何度も何度も人生をやり直す。そしてあるとき自分同様のリプレイヤーと巡りあい、本当の恋をする・・・。

 ~とざっとこんなストーリーなのだが、コミックの『リプレイJ』では、何度も繰り返しリプレイする人生は描いていない。小説同様やはりショボイ40男が、新入社員時代に戻るのだが、1度目のリプレイで、やりたい事をほぼ全て完遂してしまう。だから回を重ねるごとに段々スケールが大きくなり、ついには日本はおろか世界中を席巻してしまうのである。
 しかもほとんどが、歴史的実話で構成され、登場人物の名も本名をモジっただけで、顔は本人そのものなのだから笑っちゃう。

 これなら絶対に面白い・・・はずである。ところがこのコミックには、不思議といまひとつのめり込めない感がある。
 一言でいえば、細かい絵を追うのが疲れるのだ。そう、今泉伸二が描く絵は、細部に渡り美麗極まりないなのだが、まさにイラストであり動きが全くないのである。原作もののマンガを描く人には、このようなタイプの画風が実に多いね。
 それが唯一の欠点であり、残念だがマンガとしては最大の欠陥とも言える。まあ人それぞれなので、こういう絵が好きならば、文句なく楽しいマンガと言えるだろう。

評:蔵研人

リプレイ5


著者:ケン・グリム・ウッド  翻訳:杉山高之
    
アメリカの小説なのだが、ケン・グリム・ウッドの『リプレイ』を読んだであろうか? 北村薫の『ターン』が毎日の繰り返しであるのに対して、この『リプレイ』は一生の繰り返しなのである。主人公は43才になると突然死んでしまい、18才の若者時代の自分に過去の記憶を失なわずに戻るのだ。

 そしてまた43才になると死亡してしまい、再び18才の若者時代戻るということを繰り返すのである。つまり何度も人生をやり直せるため、大きなギャンブルや株式などは、その結果を記憶している限り大儲けも出来るし、美女も思いのまま!といった痛快なお話なのだ。

 ただ余りこれを繰り返しても退屈してしまうのだが、程よい時期に同じようにリプレイを繰り返す美女と出合う。そこから新展開を迎えるため、ストーリーは俄然お面白くなり、一体結末はどうなるのか非常に気になり始めてしまう。
 同じ新潮社から日本版にリメイクされたコミック『リプレイJ』も出版されているが、やはり原作本には遠く及ばない。470頁に及ぶ長編小説であるが、あっという間に読破してしまうほど面白いので、興味があれば是非一読してみよう。自信を持ってお勧めしたい。

評:蔵研人

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