タイムトラベル 本と映画とマンガ

 本ブログは、タイムトラベルファンのために、タイムトラベルを扱った小説や論文、そして映画やマンガなどを紹介しています。ぜひ気楽に立ち寄って、ご一読ください。

 タイムマシン、タイムトラベル、タイムスリップ、時間ループ、パラレルワールド、時間に関係する作品を収集しています。まだまだ積読だけで読んでいない作品がたくさんあるのですが、順次読破したら本ブログにて感想を発表してゆきますね。

君が落とした青空3

君が落とした

製作:2022年 日本 上映時間:93分 監督:Yuki Saito

 原作は2010年に公開された櫻いいよのケータイ小説で、その後スターツ出版文庫として新装版が出版されている。
 基本的には学園ラブストーリーなのだが、事故に遭った恋人を救うためタイムループの中で何度もチャレンジする女子高生を描いて行く、というラブファンタジー系のような作品であった。

 高校生の実結と修弥は映画の趣味が一致し、付き合い始めて2年目になる。そして毎月1日には、必ず一緒に映画を観るというデートを重ねていた。ところが映画館のロビーで突然修弥に電話があり、彼は理由も言わずに急用ができたからと、デートを中断して実結を残したまま去ってしまう。
 その後、傷心の実結が帰路の途中、修弥からメールを受信して指定された時計台がある場所へ向かう。だがそこでトラックに轢かれそうになった実結をかばった修弥が撥ねられてしまう。その時時計台の針は午後7時を指していた。

 するといつの間にか実結は、自宅のベッドの中にいて、午前7時の目覚まし時計が鳴っているではないか。あれは夢だったのか、と考えたのだが、その後のあらゆる展開が夢と同じなのである。そして次の日も……。結局のところ実結は、毎日同じ1日を繰り返しているようなのだ。なぜそうなったのかは分からないのだが、彼女はなんとか修弥が事故に遭遇しないように努力する。だが結局事態はいつも好転せず、彼はどうしても事故から逃れられない。

 最近になってこうしたタイムリープ系の映画が数多く製作されているが、なんといってもその元祖は米国映画の『恋はデジャヴ』である。本作も序盤はそのセオリー通りの繰り返しパターンが描かれていたのだが、結論的にはタイムトラベルではなく、夢落ちという掟破りの手法だったのは非常に残念だ。だからどんでん返しもなければ、タイムパラドックスも生じない。それに主人公を含めたキャスト陣もいま一つな感があり、余りのめり込めなかったな……。

評:蔵研人

ベル・エポックでもう一度3

ベルエポック
製作:2019年 フランス・ベルギー 上映時間:115分 監督:ニコラ・ブドス

 自分が望む過去を映画撮影セットで再現する、と言う『体験型サービス』に、はまった老人の人生模様を描いたロマンティック・コメディーである。と言っても、タイムトラベル作品ではなく、あくまでも映画セットと俳優たちで過去を再現するサービスである。発想的にはなかなかユニークなのだが、ジャック・フィニイの『ふりだしに戻る』という小説の過去に戻る手法を参考にしたのかもしれない。

 進歩した現在を否定し、あくまでも過去に固執する元・売れっ子イラストレーターのヴィクトルは、今は職を失い妻にも見放されてしまう。そんな彼に孝行息子が、莫大な金がかかる『体験型エンターテイメントサービス』の招待券をプレゼントしてくれる。そしてヴィクトルが選んだ過去とは、愛する妻と巡り合った1974年のカフェであった……。

 序盤はなかなか興味深かい展開だったのだが、中盤以降は急にテンポが悪くなり、やや中だるみ感が漂い始めたのが残念であった。たぶん息子の友人でこの体験サービス会社を立ち上げたアントニーと、彼の恋人である女優の絡みが平行描写されたため、ストーリーの目的が分かり難くなってしまったからかもしれない。あくまでも本作では、ヴィクトルとその妻にだけに焦点を絞ったほうが、もっと感動を呼び込めたような気がするのだが……。


評:蔵研人

ウィンズ・オブ・ゴッド

ウィンズ・オブ・ゴッド
★★★☆
製作:1995年 日本 上映時間:97分 監督:奈良橋陽子

 売れない漫才師コンビ田代と金太は、交通事故のショックで、太平洋戦争中にタイムスリップし、なんとあの「神風特攻隊員」になっていたのである。ただしタイムスリップというよりは、魂が過去の人物と入れ替わったのだから、映画の中でも語られているように、「輪廻転生」の変形と考えたほうがよいのかもしれない。
 この過去の世界で、田代は戦争批判を繰り返し、独房に叩き込まれるのだが、純な金太のほうはだんだん過去の世界に馴染んでゆく。仲間の特攻隊員たちは、田代の説得にも応じず、家族や国を守るため次々に敵艦めがけて自爆してゆくのだった。そしてしまいには金太までが……。

 そもそも本作は1988年に今井雅之が舞台用に書き上げた戯曲なのだが、これが大好評を得て1995年に小説化・映画化されたものである。映画ではその今井雅之が田代役で主役を演じているのだが、残念ながら2015年に大腸がんのため54歳の若さで死亡している。
 
評:蔵研人

ぼくが処刑される未来

ぼくが処刑される
★★☆
製作:2012年 日本 上映時間:87分 監督:小中和哉

 自分の意見をはっきり言えず、ただ漠然と毎日を過ごしていた大学生の浅尾幸雄は、橋の上で酔っ払いが寝転んでいるのを見ていた時、突然まばゆい光に包まれてしまう。気が付くとそこは25年後の未来で、なんと警察の取調室で身柄を拘束されているではないか。
 彼は未来に罪を犯したという理由で未来にタイムワープさせられたのだが、未来の罪を償うため過去の彼が処刑されると言う奇妙な理屈なのだった。それを決めたのは、未来に開発された量子コンピューターで、その計算能力は神がかりで絶対に間違いがないと言うのである。

 テーマ的には興味深いし、福士蒼汰と吉沢亮が主演だと言うことで、本作を観る気になったのだが、余りにもチープ過ぎてがっかりしてしまった。低予算と言うこともあるが、脚本も悪いしタイムトラベルものの設定や展開などのルールも全く無視状態なのだ。そもそもドラマとしても失格なのに、これではタイムトラベルファンの心さえも掴めないよな。
 
評:蔵研人

君のためのタイムリープ 3

君のためのタイムリープ

製作:2017年 台湾 上映時間:104分 監督:シェ・チュンイー

 高校時代に『月球組』というバンドを結成していた5人組のボーカル・恩佩(エンペイ)は、その才能を認められて日本で活躍するのだが、落ちぶれてしまった挙句に若くして自殺してしまう。彼女の葬儀の後、5人組の一人だったジョンシャンは、路上で不思議な老婆から「一輪一晩」と言われて、三輪の玉蘭をもらう。そしてジョンシャンがその玉蘭の匂いをかぐと、なんと彼は高校時代にタイムリープしていたのである。
 高校時代なので当然だが、エンペイはまだ生きていて、必死でオーディションの練習をしていた。ジョンシャンはエンペイに死んで欲しくなくて、必死に彼女がデビューしない方法を考え邪魔をするのだが……。

 1997年の台湾が舞台なのだが、日本の風景も織り込まれており、安室奈美恵や小室哲哉や飯島愛に憧れている台湾の青年たちを観て、「そんな時代もあったなあ」と懐かしさがこみあげてきた。さらには『たまごっち』、『プリクラ』、『将太の寿司』などの日本カルチャーが満載なのだ。当時の台湾では、まだ日本が憧れの国だったのだろうか。
 決してつまらない映画ではないのだが、脚本が単純すぎるし、主人公とヒロインが余り魅力的ではなかったためか、中だるみ感を禁じえなかった。ただラスト前の15分間は、スクリーン全体に優しさが漂っていたよね。それにしてもその15分間のために、約100分間も我慢しなければならないのは辛過ぎるじゃないの……。

 
評:蔵研人

十二単衣を着た悪魔

12単衣

★★★☆
製作:2020年 米国 上映時間:112分 監督:黒木瞳

 エンドロールを見て監督がなんと女優の黒木瞳と言うことで驚いたのだが、彼女が監督した映画は本作が3作目で、最近まですでに4作を数えていたのである。もうすでにりっぱな映画監督ではないか。

 京大合格の弟に劣等感を抱くフリーターの伊藤雷が、ひょんなことから源氏物語の世界にタイムスリップする話である。さて彼がタイムスリップしたときに持参していたものは、スマホと源氏物語冊子と薬のサンプルだけだったのだが、なんとそれが全て役に立って平安時代に陰陽師として生きることになるのだった。
 そして彼は持参していた風邪薬で、ときの皇后だった弘徽殿女御を病から救うことになり、彼女に仕えて行くうちにだんだん平安時代にも慣れてくる。さらには妻をめとり、子まで設けることになり、元の世界には帰りたくなくなるのだった。
 
 源氏物語では悪女として知られた弘徽殿女御。さしずめ現代なら超やり手女社長といった雰囲気で、強靭な心と冷静な分析力で息子の一宮を帝にしようと野心に燃え続けるのだが、彼女こそ多分あの『プラダを着た悪魔』のメリル・ストリープと重ね合わされたのだろう。まさに本作は、そのオマージュとして創られた平安時代版『十二単衣を着た悪魔』なのであろう。
 
 原作はなんとまあ、あの内館牧子の『十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞』という長編小説だと知って二度びっくり。それにしても、ダメ男がタイムスリップしていろいろ経験を積むうちに成長してゆき、元の世界に戻ると、過去の世界にいた人とそっくりの人と巡り合う……というタイムトラベル系のお約束をしっかり守った王道作品だったよね。
 
 
評:蔵研人

リピート TVドラマ3

リピート

 乾くるみの長編小説をドラマ化したものだが、原作とはかなり異なっているので、原作既読者にも楽しめるはずだと思う。かくいう私も原作を読んでから本作を観たクチなのだ。さて原作と異なっていた部分とは次の通りである。

 最大の相違点は、原作の主人公が毛利圭介だったのに、ドラマでは篠崎鮎美に変わっていることだ。もしかすると大物俳優が少ない中で、貫地谷しほりが篠崎鮎美を演じたからかもしれないし、TVドラマということで女性受けを狙ったからかもしれない。いずれにせよそれによって、ストーリー展開自体にも大幅な修正が必要になってしまったのだろう。

 また原作では、リピートした10人のうち女性は篠崎鮎美だけなのに、ドラマでは9人のリピート中3人の女性が含まれているのだ。さらに鮎美は圭介と同年代だったのに、ドラマではかなり年上になってしまった。これらも全て貫地谷しほりが篠崎鮎美を演じた副作用に違いない。
 次にリピート場所がかなり異なっていた。原作では上空で、ヘリコプターを使って移動するのだが、撮影費用の増加やヘリの運転にかかわる諸事情から、徒歩で行ける洞窟に鞍替えされてしまったのだろう。

 それからリピート仲間が次々に死亡するのだが、その順番も異なっている。これは前述した主人公の変更に伴うドラマの構成上、やむを得なかったのかもしれないね。このほかにも細かい変更はいろいろあるのだが、何と言ってもエンディングが全く違っていた。
 これについてはネタバレになるので、ここに記すことは出来ないが、原作よりは多少救われるかもしれない。やはりTVドラマだね。

評:蔵研人

終わりに見た街

終わりに見た街
★★★☆
著者:山田太一

 多摩川を見下ろす東京近郊の住宅地に住む家族が、ある朝目覚めたら突然、家ごと太平洋戦争末期の昭和19年にタイムスリップしてしまうというお話である。家ごとタイムスリップする展開は珍しい。だが戦時下で家族全員が生きていくためには、未来の珍しい品物を売って食をつなぐしか方法がないため、こうした設定を考えたのであろう。従って家自体はすぐに炎上し、家財道具だけを持てるだけ持って各地を転々と移動するのであった。
 また物語に変化をつけるために、旧友の敏夫さんも息子と一緒にタイムスリップしてくるのである。この敏夫さんがなかなか逞しい人で、頼りない主人公に変わって、戦時下という苦境の中で生き抜く術を教えてくれるのだ。

 戦時下へタイムスリップする話は幾つか知っているが、本作のように恐ろしい話は初めてである。何が恐ろしいのか、敵の米軍よりもっと怖いのが、なんと味方である隣人たちや日本兵たちなのだ。隣人たちは自分の保全のため、変わった風体や言動のある者をお上にタレコミするからである。
 また憲兵や軍人たちは、有無を言わさず「お国のために働け!」と威張り腐って跋扈するばかり。ああーこんな時代に生まれなかっただけでも幸せだと、つくづく現在を生きていることに感謝してしまうのだ。いずれにせよ戦前生まれの著者だからこそ、救いようのない戦争の恐ろしさを表現できたのであろう。

 さてタイムトラベルものの楽しみの一つは、ラストはどのような形で締めくくるのか、またどんなどんでん返しが待っているのだろうかということである。果たして驚くべきどんでん返しが用意されていたのだが、いまひとつ状況が把握できないまま終わってしまった。まさしくタイトル通り『終わりに見た街』なのだが、パラレルワールドなのか、夢落ちなのか、もしかすると辻褄が合わない部分があるが、実は『猿の惑星』だったのだろうか。

評:蔵研人

ループ・ループ・ループ3

ループ・ループ・ループ

著者:桐山徹也

 桐山徹也のことは本作を読むまで全く知らなかったのだが、それもそのはず本作以外には『愚者のスプーンは曲がる』という作品しか発表していないようだ。
 本作はタイムループもので、毎日が何度も繰り返されるという学園小説である。最近似たような小説を時々読むのだが、事故に遭いそうな人がその事故を回避した場合には、その人も時間が繰り返していることに気づくという設定が斬新であった。

 ただストーリー自体には深みもなければ捻りも見つけられなかった。ただ最後まで興味を惹かれたのは、なぜこのようなループ現象が生じてしまったのかという一念のお陰であろう。ただしその結末も余り説得力がなかったが、平易な文体で読み易かったことも間違いない。まさにジュニア向けの作品なのであろうか。

評:蔵研人

通りゃんせ4

通りゃんせ

著者:宇江佐真理

 25歳の若手サラリーマンである大森連は、失恋の傷を癒すために休日になるとマウンテン・バイクで走りまくっていた。ところが小仏峠周辺で道に迷い、滝の裏に墜落してしまう。目が覚めると、なんとそこは天明6年の武蔵国中郡青畑村であった。
 連は時次郎とさな兄妹に助けてもらいながら、連吉と名を変えて時次郎の百姓仕事を手伝うことになる。さらに忙しい時次郎に変わって、領主である江戸の松平伝八郎のもとを訪れるのだった。

 宇江佐真理と言えば、吉川英治文学新人賞を受賞したり、何度ともなく直木賞候補に挙がっている時代小説の旗手である。ところがなんと本書は、現代っ子の若者が江戸時代にタイムスリップして、川の氾濫や天明の大飢饉で苦しむ村人たちを助けるというSF絡みの時代小説だったのだ。
 ただしSF時代劇と言っても『戦国自衛隊』や『戦国スナイパー』などのように未来人が未来の知識や武器を使ってヒーローになるような大それた話ではない。せいぜい汚れた井戸水の簡易ろ過装置を創ったり、整体やストレッチの知識を生かして感謝される程度の活躍をするだけである。それより何と言っても、主人公・連の優しさと誠実さが脈々と流れてくるような清々しく凛としたストーリーに心を奪われるだろう。

 またさすが本格時代小説家だと感じさせる的確な時代考証を土台にした、現代と江戸時代の風俗や社会構成の比較描写は実に見事であった。それに加えてワームホールなどのタイムスリップ理論や、過去の改変によって引き起こされるタイムパラドックスについても言及しているところに著者の真摯な勉強熱心さを感じた。
 ただ高校時代の友人坂本賢介の存在や行動が、説明不足かつ中途半端だったところだけが唯一気に入らない部分だったような気がする。またラストでの早苗との遭遇はよくある映画のパターンで、ほぼ私の予想通りであったのだが、ずっと暗く苦しかった連にそのくらいのご褒美はあげてもいいかな……。


評:蔵研人
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