タイムトラベル 本と映画とマンガ

 本ブログは、タイムトラベルファンのために、タイムトラベルを扱った小説や論文、そして映画やマンガなどを紹介しています。ぜひ気楽に立ち寄って、ご一読ください。

 タイムマシン、タイムトラベル、タイムスリップ、時間ループ、パラレルワールド、時間に関係する作品を収集しています。まだまだ積読だけで読んでいない作品がたくさんあるのですが、順次読破したら本ブログにて感想を発表してゆきますね。

サマー/タイム/トラべラー 1・23

著者:新城カズマ

 スラッシュが2つも入るタイトルなんて、そうザラにあるものじゃない。おかげでファィル名には使えないじゃないの(笑)。それにしてもこの作品は本当に小説なの?少なくとも前半はどちらかというと、小説仕立ての『時間テーマSF論』という感がしないでもない。

 主な登場人物は、タイムトラべルが出来る悠有を除けば、老成したような高校生ばかりであり、しきりに蘊蓄をひけらかす。ことにSF作家の名前や作品名がポンポン飛び出すので、SFオタクには嬉し懐かしだが、そうでない人には耐えられないかもしれない。
 それにストーリー展開が、えらくまどろっこしいと言うか、回りくどいのだ。まるでヒグマが潜んでいるブナの林道を、全く振り向きもせず、鼻唄まじりでのんびりと歩いているようである。

 それに『プロジェクト』などと気取っているが、単なる『SF同好会』じゃないか。ストーリーのほうも前半は、この同好会での蘊蓄大会に終始し過ぎて退屈で死にそうだった。
 それにこの物語にある地名は、全てが架空のものだというのに、もっともらしい地図を何枚も掲載する必然性がみえてこないのだ。いい加減にして欲しい。もう少し上手にまとめれば、わざわざ2冊にすることもなく、充分1冊に納まる内容である。

 ・・・と文句ばかり言いたくなる作品だが、後半になって急遽『学園ドラマ』から『ミステリー小説』へ脱皮し、ラストに至っては、まるで悠有のタイムトラべルの如く、猛烈な勢いで末来を通り抜けてしまうのだ。
 しかしエンジンがかかるのが余りにも遅過ぎるよ。読み辛い文章と退屈なストーリーで、ここまで無理やり引っ張っておきながら、今度はあっという間に終ってしまうしね。

 読了後の満足感もなければ、感動する場面もない。ただ著者が『夏への扉』と『ジェニーの肖像』の大ファンである、という確証だけが残った。しかしそれでも『SFが読みたい2006年版』でベストSF国内篇5位。さらに第37回星雲賞も受賞している。いつの間にか最近のSF小説は、オールドSFファンには、ついて行けなくなってしまったようだ・・・。

評:蔵研人

時をかける少女 アニメ版5

製作:2006年 日本 上映時間:100分 監督:細田守

 かなり昔に筒井康隆の原作と、原田知世の映画を観たが、女子高生がタイムスリップするということ以外は、綺麗さっぱり忘れてしまったようだ。原作の発表が1967年頃だから、もちろんケータイなんてないし、女子高生もあんな超ミニスカをはいているわけがない。
 始め原作を現代版にアレンジし直して、ついでに内容も大幅リメイクしたのだろう。・・・と思ったのだが、実は原作から数10年後を舞台にして、ヒロインを原作の主人公の姪という設定にしている。しかもアニメである。

 結果的にはこれが大成功の原因だったのかもしれない。当時上映館は僅か250席程度のテアトル新宿だったが、整理券を発行するほど超満員となり、「映画でこんなの初めてだわ」と若い女性たちも興奮ぎみであった。
 その後ネットでも断突の高評価を得ていたが、なにせ上映館が少な過ぎたし、東京ではテアトル新宿だけの単館上映だった。あまりにも大好評だったため、その後劇場を変えて再上映ということになったことも忘れていない。

 さて肝心なのは映画の中味のほうだが、これも評判通り上出来である。まるで写真のように精密に描き込まれた背景に、ひょろろ~んとして鼻のない柔らかいキャラがよく似合っていた。
 ストーリーは、明かるく活発な女子高生が、理科室で偶然拾った『あるもの』によってタイムスリップ能力を身につけてしまう、という学園SFファンタジー仕立てである。

 ただタイムスリップといっても、過去の自分に会うわけではなく、どちらかというと『リプレイ』するという感じだ。
 なかなか味わい深い展開であり、アニメとは思えないきめ細やかな感情描写に、思わず誰もがスクリーンの中にのめり込んでしまった。そしておっちょこちょいで男まさリだが、明かるく爽やかなヒロインが、とても上手に描かれている。

 笑いあり、涙ありの甘酸っぱく、ちょぴり切ないが、とても心地良いファンタジック・ラブストーリーであった。アニメに偏見を持っている人がいたら、是非この作品を観て考え方を覆して欲しい。そして日本アニメの真価を再認識してもらいたいものである。
 あのスクリーン一杯に埋めつくされた「ブルーの空と白く青味がかった入道雲」、そしてその空間を跳ぶヒロインの姿が実に美しい。まさしく青春まっただ中。これぞジャパニーズアニメの真髄といえよう。

評:蔵研人

あしたはきっと・・・3

製作:2000年 日本 上映時間:88分 監督:三原光尋  主演:吹石一恵

 ちょっと古い映画で、福山雅治と結婚した吹石一恵が主演の女子高生を演じている。
 従ってこの映画を観たのも20年近く前なのだが、そのとき「今時の高校生は、女子のほうから男子に「告白」するのかねぇ~」と感じたものだが、今ではそれも当たり前の時代になってしまった。世の移り変わりは俊足極まりないものである。
 
 騒がしい女子四人組と、田舎の町がなんとなくアンバランスな感じだ。空手部の先輩に恋心を告白する主人公の吹石一恵。その瞬間に振られてしまい失意のどん底へ。
 ところがそのとき、ブドウ畑で不思議な少女と出会うと、次の日にはまた前日に逆戻り。再度告白方法を変えてチャレンジするのだ。さてさてこの恋は成就するのだろうか。

 まるでビル・マーレイとアンディー・マクドウェルの名作『恋はデジャヴ』そのものである。だが残念ながら、完成度は『恋はデジャヴ』には、遠く及ばなかった。
 まず音楽がマッチしていないし、時間が戻るシーンにドキドキ・ワクワク感がないのだ。本来なら★★☆程度なのだが、自分の大好きなテーマなので、ついつい甘い評価点になってしまった。

 ただ喜怒哀楽を上手に眼で演技していた吹石一恵と、サバサバとした先輩役の沢木哲には好感を持てるだろう。またブドウ畑の不思議な少女については、すぐに正体が判ってしまったが、それでもラストの写真にはホロリとしてしまった。吹石一恵ファンやタイムトラベル好きの人なら一度鑑賞する価値はあるだろう。

評:蔵研人

ブルータワー3

著者:石田衣良

 直木賞作家である著者が、満を持してSFに初挑戦した大作である。本作を書くにあたって、著者は「現在日本の出版界は社会的リアリズム全盛で、SFやファンタジーなど想像力に傾斜した小説は商売にならないといわれている。天邪鬼なぼくは、今こそファンタジーを始める時期だと思う」と語ったそうだ。

 SFファンにとっては非常に嬉しく、心強い言葉である。そしてかつてのようにSFブームを巻き起こしてもらいたいと願う。さてこのように期待は大きく膨らんだのだが、残念ながら従来のSFの殻を打ち破るほどの大殊勲はあげられなかった。
 ストーリーは、脳腫瘍を病む主人公瀬野周司が、その激しい痛みとともに200年後の世界へ「精神だけ」タイムリープする。だがその未来は暗く、黄魔と呼ばれる生物兵器に汚染されていた。
 人々はその黄魔から身を守るため、2kmの巨大なタワーを作り、その中でヒエラルキー社会を構築しているのだった。そうしたタワーのひとつで旧新宿にそびえるのが、『ブルータワー』なのである。

 瀬野周司の精神が移転する体は、そのタワーの最上階近くに住み、ブルータワーの特権階級の一人セノ・シューであった。彼は正義感に燃え、黄魔から世界を救おうと、未来と現代を何度も往復するのである。
 ここまで話せば、映画ファンならなんとなく『マトリックス』『バイオハザード』『ハイライズ』等を組み合わせたような臭いを感じるであろう。もう少しオリジナリティーが欲しかったね。

 またハッピーな結末は良いのだが、あの親切過ぎるエピローグは、不要だったのではないだろうか。だからと言って決して駄作ではないし、つまらない作品でもない。余りにも期待を膨らませ過ぎた裏返しなのだろう。著者の次回SF作品に期待したいところだ。
 ところで小説としてはいま一つだった本作だが、映画化すればかなりヒットしそうな気がする。ただ大人の視覚に耐えられる作品に仕上げるには莫大な製作費が必要となるので、日本だけの配給では難しいかもしれないね。

評:蔵研人

名残りの雪4

著者:眉村卓

 短編ではあるが、いつまでも心に残る味わい深い作品であった。主人公の伊藤は、昭和の時代から幕末へとタイムスリップし、そこで新選組の隊員として働くことになる。そしてまた現代に戻って守衛の仕事をするのだが・・・。

 これだけでは、よくあるドタバタSFと変わらないのだが、この作品はラストの落とし方が凄いのである。それを明かすとネタバレになるのでやめておくが、つまり「逆転の発想」とでも言っておこうか。
 かって『幕末未来人』というタイトルで、NHKでドラマ化されている。DVD化されているので、出来れば原作と併せて観ることを薦めたい。なおこの作品は、眉村卓の短編集『思いあがりの夏』または『虹の裏側』に収録されている。

評:蔵研人

君がいる風景3

著者:平谷美樹
 
 初めは著者の名前を、平谷美樹(ひらたに・みき)と読み違えてしまった。紛らわしい名前なのだが、著者の名は「ひらや・よしき」と読み、紛れもなき男性なのだという。彼は岩手県内の中学校美術教師をしていたが、2000年6月『エンデュミオンエンデュミオン』で作家デビューを果たしている。そして長篇SF『エリ・エリ』で第1回小松左京賞を受賞しており、最近では2014年に〈風の王国〉シリーズで第3回歴史時代作家クラブ賞シリーズ賞を受賞している。

 さて簡単に本作のストーリーを紹介しよう。25才の医師である主人公高村哲哉が、中学時代に淡い恋心を抱いていた美鈴ちゃんを助けに、10年前の自分の意識にタイムスリップするお話である。そう!とっても可愛かった美鈴ちゃんは、中学3年生のときに、「ある事故」に遭遇してうら若き命を失ってしまったのだ。

 ところが、せっかくタイムスリップに成功したのに、皮肉にも美鈴の死にまつわる記憶を失ってしまった主人公。さて一体どうやって美鈴ちゃんを救うのだろうか。ペペンペンペン!。
 タイムスリップする中学校は東北にあり、ラストのクライマックスは三陸海岸の近くである。なぜこの場所を舞台に選んだのか、もちろん著者の居住地ということもあるが、実は過去のニュースを調べれば判るのだが・・・。いやネタバレになるのでここでは秘密にしておこう。

 この作品はジュヴナイルSFであり、中学生や高校生を対象として書かれているようだ。従って清純で素直で嫌味がないし、ラストは皆んな幸せになる。それが大人にはやや物足りないかもしれないが、甘酸っぱさに、ハラハラ風味をブレンドした青春ドリンクもたまには良いだろう。ただ残念ながら本書は絶版となっており、図書館で探すか中古本を購入するしか手だてはないのだ。

評:蔵研人

君と時計と嘘の塔5

著者:綾崎隼

 なんと超遅読者の私が、4冊に及ぶこの長編小説の全巻を、僅か1週間で読破してしまったのである。通常なら1冊だけでも1か月位かかって、のらりくらりと読み続けているだろうから、もの凄いスピードで読み抜いてしまったということになる。
 登場人物も背景も限定的なのだが、この小説には麻薬のような中毒性が含まれているようだ。そうでなければ、こんな超人的な速読が出来るわけがない。

 一番大切な人が死ぬと、激しい時震(地震と違い、物は揺れず、身体だけ揺れる)が起こり、過去にタイムリープしてしまうのであるが、次のようなルールが存在していた。

過去に戻るのだから、死んだ一番大切な人は元に戻っているのだが、その引き換えに二番目に大切な人が消失してしまう。
消失した人は5年前に突然消えてしまったことになり、5年前以降の存在は誰の記憶にも残っていない。だがタイムリープした人にだけは、全ての記憶が残されている。
消失した人は基本的に元に戻らず、2回目のタイムリープが起こると、今度は三番目に大切な人が消失してしまう。3回目、4回目以降のタイムリープについても同様なので、タイムリープを繰り返すとどんどん大切な人が消失してしまう。
タイムリープは無限にできる訳ではなく、時間の歪みによって生じた余剰時間分が限界となる。
タイムリーパーは複数いるのだが、自分以外の人がタイムリープした場合は、通常人と同様記憶が残らない。

 それにしても、よくこれだけいくつもルールを創り、それに合わせて物語を複雑かつ緻密に展開させたものである。改めて作者・綾崎隼の力量に脱帽する次第である。

 さて本作が4巻で構成されていると前述したが、タイトルは全て『君と時計と嘘の塔』ではないのだ。「君と時計と」までは同じなのだが、正確には『君と時計と嘘の塔 第一幕』『君と時計と塔の雨 第二幕』『君と時計と雨の雛 第三幕』『君と時計と雛の嘘 第四幕』の4冊となっている。ただコミックスのほうは『君と時計と嘘の塔』で統一され1~3巻で発売されているのでご注意!。

 主な登場人物は、主人公の杵城綜士のほか草薙千歳、織原芹愛、鈴鹿雛美の4人であるが、タイムリープできるのは杵城綜士、織原芹愛、鈴鹿雛美の3人の高校生であり、草薙千歳は天才的能力を持つ先輩である。またタイムリープする3人が、相互にいろいろな感情で縛られているところが興味深い。さらには前半は織原芹愛がヒロインだったのだが、実は全く眼中になかった鈴鹿雛美がヒロインに変ってゆく過程がかなり感動的なのである。またラストの大団円も、実に見事に決めているではないか・・・。
 
 ああこれ以上書き続けていると、ネタバレになる恐れがあるのでここらで筆をおきたい。最後に一言、本書ではタイムリープが頻繁に起こるのだが、ただ過去に跳ぶだけではなく、何度も過去をやり直すことになるので、正確にはタイムループものと分類しても良いだろう。

評:蔵研人

時間泥棒3

著者:ジェイムズ・P・ホーガン

 時間を盗むエイリアン?により、ある条件下での時間がだんだん歪んでくる。そしてその犯人を、主人公である警察官が捜査するというストーリーである。
 日本のSFだったら、なんとなく筒井康隆あたりが書きそうなテーマだが、たぶん彼が書けば、荒唐無稽のドタバタ劇になってしまうだろう。ところが本作品は、ある程度のユーモアを香辛料としながらも、時間についての物理学上のハードな考証にも、決して力を緩めていないところが素晴らしい。

 時間が歪む謎について解明するために、霊能者、物理学者、神父たちと次々にインタビュ一するのだが、一番関係のなさそうな神父さんが一番役立つのは、以外であり皮肉ぽくって愉快だった。この作品は小説としては面白いが、映画化して好評を得るのは、かなり難しいかもしれないね。
 
評:蔵研人

寛永無明剣4

著者:光瀬 龍

 この著者は、いつも文章が重厚で堅いので敬遠気味だった・・・。だがこうした時代ものならば、かなりその味を生かせると思った。またもともと時間テーマSFだということは分かっていたので、時代劇は前半だけかと思っていたのだが、延々と約70%は時代小説そのものであった。

 ただ闇に潜むような、不気味で強大な敵の存在に、チラりチラリとSFの影が見え隠れしていたことは間違いない。だが終盤になると、突如として携帯用タイムマシンが大活躍し、江戸~古代~現代~超未来や亜空間を行ったり来たりし始めるのである。そのギャップの激しさに、ここら辺からついてゆけない読者も現れるかもしれない。

 物語の背景は「大坂夏の陣」が終わって19年後の世界である。いまだ世情は収まらず、江戸の町には機会があれば倒幕を企てる勢力が暗躍していた。そんな折、北町奉行所与力・六波羅蜜たすくは、柳生但馬守の刺客に襲われてしまう。なぜ柳生に狙われたのか、その謎も不明のまま、次々と不可解な暗殺事件が起こるのだった・・・。

 また2系統の敵が存在し、双方が探している『さざれ石』と『女子』の謎の解明が、この小説最大のハイライトだと思うのだが、十分な解説がなされていないため、消化不良を起こしかねないところがやや残念である。
 それにしても、著者はハードメカや歴史背景などを重々しく描くのは得意なのだが、細かな心理描写は苦手なようである。しかしながら、上手に江戸時代の歴史背景を一捻りしながら、荒唐無稽な話の辻褄を合わせ、この小読を描き続けた著者も、『昭和無明筆?』の達人といえるのかもしれない。

評:蔵研人


美亜へ贈る真珠4

著者:梶尾真治
 
 梶尾真治の短編はかなり好評である。ただ彼の書く短編には、二通りの風味がある。一つは筒井康隆流のドタバタ味、いま一つは叙情詩のようなリリカル味だ。私の好みは、断然後者のリリカル味であり、幸い本作はその代表作でもある。

 本作は未来だけに一方通行する航時機(タイムマシン)に乗ってしまった恋人を、外から何十年も見つめ続ける女性の切ない恋心を見事に描いている。このお話の中では、彼女が彼にもらった『真珠』の存在がキーになっているようだ。そしてラストのどんでん返しも、この『真珠』によって表現されているのである。

 なんと切なく美しい小説なのだろう。だがこのラストの描写の中で「七色に輝く真珠は殖え続けていたのです。」という記述が、何度読み返してもどうしても理解出来なかった。航時機の中での時間の経過が異常に遅いので、落ちてゆく真珠の残像がそう見えるのだろうか。自分の貧弱な読解力に、ちょっと悲しくなってしまった。
 本作は短編集『美亜へ贈る真珠』に収められているが、その中に本作と似た味がする『詩帆が去る夏』も掲載されている。こちらはタイ厶テーマではなく、愛する女性のクローンを育てる話だが、本作よりも判り易くもっともっと切ないお話だった。

評:蔵研人

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