タイムトラベル 本と映画とマンガ

 本ブログは、タイムトラベルファンのために、タイムトラベルを扱った小説や論文、そして映画やマンガなどを紹介しています。ぜひ気楽に立ち寄って、ご一読ください。

 タイムマシン、タイムトラベル、タイムスリップ、時間ループ、パラレルワールド、時間に関係する作品を収集しています。まだまだ積読だけで読んでいない作品がたくさんあるのですが、順次読破したら本ブログにて感想を発表してゆきますね。

時間は存在しない3

著者:カルロ・ロヴェッリ 翻訳:冨永星

 下記のような丁寧な構成になっていて、読み易いのだが、読めば読むほど難解になってきて、ほぼギブアップ状況のまま無理矢理完読してしまったかもしれない。

もっとも大きな謎、それはおそらく時間
第一部 時間の崩壊
 第1章 所変われば時間も変わる
 第2章 時間には方向がない
 第3章 「現在」の終わり
 第4章 時間と事物は切り離せない
 第5章 時間の最小単位
第二部 時間のない世界
 第6章 この世界は、物ではなく出来事でできている
 第7章 語法がうまく合っていない
 第8章 関係としての力学
第三部 時間の源へ
 第9章 時とは無知なり
 第10章 視点
 第11章 特殊性から生じるもの
 第12章 マドレーヌの香り
 第13章 時の起源
眠りの姉
日本語版解説
訳者あとがき
原注

 著者はイタリア生まれの理論物理学者で、現在はフランスのエクス=マルセイユ大学の理論物理学研究室で量子重力理論の研究チームを率いている。
 本書では、「時間はいつでもどこでも同じように経過するわけではなく、過去から未来へと流れるわけでもない」という驚くべき考察を展開している。だがそれにもかかわらず、私たちが時間が存在するように感じるのはなぜなのか。
 その答えを物理学ではなく、哲学や脳科学などの知見を援用しながら論じているところがユニークである。だがその辺りが本書を難解にしている源なのかもしれない。

評:蔵研人

ルート2253

原作:藤野 千夜 漫画:志村 貴子

 『ルート225』は、藤野千夜が芥川賞受賞後に書き下ろした長編小説であるが、その後多部未華子主演で映画化され、さらに志村貴子が描く漫画にもなっている。私は何れも読んだり観たりしているのだが、何と言ってもかなり昔のことで、ほとんどあらすじを忘れてしまった。
 覚えていたのは弟を探しに行った姉が、やっと公園で弟を見つけるのだが、なかなか家に帰ることが出来ない。…と言うような出だしの部分と、映画での多部ちゃんがまさにぴったしカンカンだったということだけであった。このたびたまたま本棚の隅っこでこの漫画版を見つけ、漫画ならすぐに読めるだろうと考え再読することにしたのだ。

 まずタイトル 『ルート225』の意味は、単純に数学の√225=15で、ヒロインの年齢ということになる。また同時に弟が見つかった公園に面した国道、つまりパラレルワールドの入口を指すのだろうか…。
 さて15歳と言えばまさに反抗期である。今まで仲の良かった友達になんとなくちぐはぐ感を覚えたり、ことに両親に対してはかなり煩わしい存在に思えてくる年令であろう。だからと言ってまだ生活力がないため、渋々親の言うことにも従っている。

 そんなヒロインの心理状況がパラレルワールドを産み出してしまったのだろうか。だがやはり異世界には馴染めず、弟と二人で必死に元の世界に戻ろうとする。またあんなに鬱陶しかった両親にも逢いたくなる。そしてそんなもう一つの自分の心にも気付いて行く。パラレルワールド自体については、なぜこの世界に迷い込んだのかとか、なぜ自分たちと両親だけが存在しないのかとか、いろいろ突っ込見所が多い。だが本作をSFではなく純文学として捉えれば、その辺りをあまり突っ込んでも意味がないだろう。ただラストがいまひとつ解り辛いので、もう一度小説を読んで確認してみたいと思う。

評:蔵研人

トキオカシ

★★☆
著者:萩原麻里

 富士見ミステリーのライトノベルである。タイムトラベルものということで購入したのだが、どうも著者の作風と波長が合わないようだ。駄作とまでは言わないが、こんな軽い小説をなかなか消化できず、かなりまごまごしてしまった。そして昨日やっと読み終わったのだが、特に感動もなければ充実感も湧いてこない。

 序盤は学園ラブストーリー風の展開だったのだが、中盤に明治時代にタイムスリップしたあたりから、急におどろおどろしい雰囲気に包まれて萬葉集まで飛び出してくる。さて「時置師」と書いてトキオカシと読むそうだが、彼等一族は永遠に若返りが止まらないため、他人の記憶を食らうことによって、一時的に若返りを阻止して現状を保持しているという。

 トキオカシたちの目的は何なのか、そしてどんな活躍をするのだろうか。と目を皿のように読み進めたのだが、トキオカシの超人的能力は何も発動されないし、主人公は相変わらず弱々しくて、誰の力にもなれないのだ。
 また登場人物や舞台などもかなり限定的で、スケール感も乏しくストーリーも単調である。そして退屈感ばかりが充満してのめり込めないまま、いつのまにか終劇となってしまったのである。なんだこりゃあ!。


 せめてタイムスリップしてきた意味くらいは解明されてもよいのだが、思わせぶりな説明はあるのだが、なにかスッキリとしない。かなり中途半端な気分のまま、本書を閉じることになってしまったのである。
 さてよくよく調べてみると、本作にはまだ続編があるようなのだ。その続編は「カタリ・カタリ トキオカシ(2)」なのだが、もう読む気はしないな…。

評:蔵研人

ふしぎ駄菓子屋 銭天堂

★★★☆
著者:廣嶋 玲子

 ときどき思い出したように町の路地裏に佇む奇妙な駄菓子屋さん。そこで店番をしているのは、和服を着てどっしりとしたお相撲さんのようなおばさんである。真っ赤な口紅を塗りたくり、色とりどりの大きなガラス玉のかんざしを何本もさしている派手な彼女は「紅子」という名で、古いお金を集めているようである。

 また店に置いてあるものは、「猫目アメ」、「骨まで愛して・骨形カルシウムラムネ」、「闇のカクテルジュース」、「妖怪ガムガム」、「ぶるぶる幽霊ゼリー」などなど、見たこともない摩訶不思議なお菓子ばかりである。そしてこれらを食べることによって、魔法のような不思議な現象が起こるのである。

 本書では「型ぬき人魚グミ」、「猛獣ビスケット」、「ホーンテッドアイス」、「釣り鯛焼き」、「カリスマボンボン」、「クッキングツリー」、「閉店」の七短編が掲載されているが、読み易くて面白いので遅読の私でさえ1時間程度で読破してしまった。
 好評につき、現在13巻まで出版され、アニメ映画化されたようである。なかなか面白い小説だが、なんとなく藤子不二雄の『笑うセールスマン』を思い出してしまうのは私だけではないだろう。

評:蔵研人

アレックス・タイムトラベル3

著者:清原なつの

 タイトルの『アレックス・タイムトラベル』シリーズは、長編の少ない著者が初めて挑んだ連作長編マンガであり、『真珠とり』と並ぶ著者の代表的なSFマンガ である。本書には次の5篇が収録されている。
 「未来より愛をこめて」、「秘密の園から」、「ロゼ」、「ローズガーデンの午後」、「思い出のトロピカル・パラダイス」。これらの主なテーマは管理社会からの脱出、青いバラの秘密、時間を超えた逃避行、避けられない核戦争、タイムパラドックスなどで、正統派SFマンガと言ってもよいだろう。

 そのほか短編として以下の4編も収められている。
「流水子さんに花束を」   驚異の記憶力を身につけてしまったら
「聖バレンタインの幽霊」  亡くなった彼氏と瓜二つの男が現れたら
「カメを待ちながら」    戦死した恋人を待ち続けていたら
「飛行少年モッ君の場合」 目覚めると背中に天使の翼が生えていたら

 どの作品も愛がテーマの少女漫画タッチなので、SFマンガとしては今一つ物足りない。まあ「SF初心者の女性向き」といった趣きであろうか・・・。
 
評:蔵研人

ハッピー・デス・デイ 2U

★★★☆

製作:2019年 米国 上映時間:100分 監督:クリストファー・ランドン
 
 前作『ハッピー・デス・デイ』の完全続編である。だが前作の説明は一切ないため、これを初めて見た人はかなり戸惑うはずである。また前作は、タイムループホラーという珍しいジャンルだったのだが、本作はSF色とコメディ色が強くなり、タイムループよりもパラレルワールド風味に染まっている。それにホラー要素はかなり薄められているので、なにか物足りないのだ。

 そしてタイムループの原因は、理工学部で学ぶライアンたちが開発した量子冷却装置(SISSY)だというのだが、なんとなく無理矢理こじつけた感があり余り共感できない。またこの装置を再起動するための方程式を、ヒロインがタイムループを繰り返して解析するくだりもよく理解出来なかった。

 ヒロイン役の必死の演技には脱帽するが、本作が前作より評価が高いのは不思議でならない。やはり今どきの若者たちには、お笑いが必須なのであろうか…。また更なる続編3の製作が噂されているのだが、本作と同じようなパターンなら、もう観たいとは思わない。

 
評:蔵研人

THE WINDS OF GOD -零のかなたへ-

★★★☆
著者:今井雅之

 そもそも本作は1988年に今井雅之が舞台用に書き上げた戯曲なのだが、これが好評につき1995年に小説化されたものである。その後映画化・テレビドラマ化されている。
 その内容は関西の売れない漫才師二人が事故に遭い、その反動で過去にタイムスリップしてしまう。目が覚めるとなんとそこは終戦間近の航空隊基地であり、二人は神風特攻隊の訓練中に墜落事故を引き起こしたことになっているではないか。しかも実在の特攻隊員の魂と入れ替わってしまったようなのだ…。

 ここまで書くと萩原浩の『僕たちの戦争』そっくりではないか。だが決してパクリではない。本作のほうが先に執筆されているからである。
 著者の今井雅之の本業は俳優なので、小説の文体はやや大雑把であるが、気迫だけは十分に感じられるだろう。そして映画『静かな生活』のストーカー役で、1996年日本アカデミー賞優秀助演男優賞受賞。さらには本作をライフワークとして掲げながら、オフ・オフ・ブロードウェイで公演し成功を収めている。ただ残念ながら、大腸がんに侵されて2015年に54歳の若さで他界してしまった。

 さて冒頭で、主人公が事故に遭遇し過去にタイムスリップしたと記述したのだが、タイムスリップというよりは、魂が過去の人物と入れ替わったのだから、SFしか物理学的な発想ではなく、輪廻転生など宗教観の漂う世界なのかもしれない。

評:蔵研人

ハッピー・デス・デイ4

製作:2017年 米国 上映時間:96分 監督:クリストファー・ランドン

 笑う坊やのようなマスクを被った殺人鬼に、何度も繰り返し殺される誕生日。あの名作『恋はデジャヴ』を、ホラー版に改変したようなタイムループ映画である。

 毎晩飲んだくれて、いろいろな男とすぐ寝てしまう悪たれ女子大生のツリーが、二日酔いで目覚めると、見知らぬ男のベッドの中であった。彼カーターは、酔い潰れたツリーを親切に介抱してくれただけなのだが、彼女はお礼も言わずに不快感を抱いたまま帰宅する。
 そしてその夜、誕生パーティーに出かけるのだが、途中でベビーマスクに襲われて殺されてしまう。その瞬間に、目が覚めるのだが、そこはまたカーターの部屋のベッドの中だったのである。

 ツリーはなんだか奇妙な気分のまま、父からの電話を無視 カーターの友人とドア前で会う サングラスの男と環境保護活動家に遭遇 スプリンクラーの吹き出す水 車のクラクションの音 集会で一人の男が倒れる ティムになぜメールの返信をしないのかと問われる 家の前で女の子に挨拶される 一階で友人に朝帰りを咎められる 同室の女性に誕生ケーキを貰う

 このあとやはり殺人鬼に別の方法で殺されるのだが、ここまでは生還したあとに何度も繰り返されるのであった。彼女に不快感を持っている者は数知れないが、なぜ殺されなくてはならないのか、犯人は一体何者なのか、またどうしてデジャヴのようにループが続くのだろうか。
 興味津々の中、テンポよくストーリーが流れてゆく。そしてやっと犯人を探し当てて葬ったのだが、なんとあの忌まわしいループは終わっていなかった・・・。

 そしてラストのどんでん返しに繋がってゆくのである。主人公は性悪女で感情移入し難いし、ストーリー的にもかなり雑な部分があり、突っ込見所も多い。だが・・・と言うより、だからこそテンポよく、お気楽に楽しめたのかもしれない。またホラーと言っても、コミカルホラーなので、ホラーが苦手な人でも安心して観ることができるだろう。
 なお本作の続編『ハッピー・デス・デイ 2U』もDVD化されているようである。こちらはSF色が濃くなって、タイム・ループの謎も解明されるようなので、絶対にレンタルしてみたいね。

評:蔵研人

君に出会えた4%の奇跡3

著者:広瀬未衣

 恋人と婚約した灯里が、京都の実家で高校時代に書いた若草色の日記を見つけた。だがそこに書いてあるべきある人の名前が空欄になっている。また物置で探した手作りの小さな提灯には、薄っすらと「コウ」と書かれた跡があった。

 物語の大部分は、そのコウなる謎の人物が現れる満月の4日間の出来事に終始する。その4日間の青みがかった月をブルームーンと呼び、過去へ行けるという奇跡が起こるという。
 まさに少女漫画をそのまま小説にしたような恋愛ファンタジー小説である。ただ理想の男性像のようなコウ君は、なんだか無機質の幽霊みたいで物足りないし、ストーリーにも全く幅が感じられない。また最終章の種明かしにも、余り工夫がなかったのが残念である。

 京都の古い街並みや観光地の情景描写が、なかなか幻想的で美しく綴られているので、女子学生たちには楽しめるかもしれない。だが人間描写やストーリーの奥行きが薄いため、大人たちが読んでも、まず感情移入することはあり得ないだろう。

評:蔵研人

イエスタデイ4

製作:2019年 英国 上映時間:117分 監督:ダニー・ボイル
 
 イギリスの小さな海辺の町で、シンガーソングライターのジャックは、スーパーでバイトをしながら、時々ライブ活動をしている。幼馴染みで教師をしているエリーが、マネージャー役を買ってくれていたのだが、彼の歌は誰にも振り向かれない。
 虚しくなったジャックは、そろそろ売れないライブ活動を辞めたい胸の内をエリーに打ち明けるのだった。そして自転車で帰宅途中、突然全世界に12秒間の大停電が訪れ、暗闇の中でジャックは、自転車もろともバスにはねられてしまう。

 不幸中の幸いで、ジャックは前歯を2本折っただけの状態のまま、病院のベッドで目覚めるのだった。その後退院祝いに友人たちから新しいギターをプレゼントされ、誰もが知っているビートルズの『Yesterday』を演奏するのだが…。
 それを聞いた友人たちは茫然となり、「なんて素晴らしい曲だ、いつ作ったの?」と大絶賛する。なんと彼が目覚めた世界は、ビートルズが現れていない世界だったのである。

 それを知ったジャックは、ビートルズの曲を次々に演奏し、大スターへと昇りつめてゆく。といった流れのドラマなのだが、実はかわぐちかいじのマンガ『僕はビートルズ』をパクったのではないかと思われるほどよく似ているのだ。しかし天下のユニバーサルやアカデミー監督ダニー・ボイルが、日本のメジャーでもないマンガをパクるであろうか…。まあいずれにせよその真偽は闇の中だ。

 本作はビートルズへのオマージュのような感があったのだが、どうも熱狂的なビートルズファンには不評のようである。それはビートルズの名曲に潜む「こころ」の解析にまでは踏み込まず、単なる美しい曲として紹介されているからだという。またいくらビートルズの名曲でも、レコード会社の資本力のバックアップがないと、現代の世界では通用しないと言いたげなアイロニーが練り込まれているところが気に入らない。…ということになる。

 まあ確かにそんな見方も出来るし、ジャックが家族に『Let It Be』を歌うときは、観ているほうもイライラとむかむかを禁じえなかったことも否めない。ただそこまで小難しく考えず、ビートルズの名曲に浸りながら、アメリカンドリームとラブコメを掛け合わせたコメディー映画を観ているのだ、と言い聞かせれば決して腹も立たないだろう。

評:蔵研人

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