タイムトラベル 本と映画とマンガ

 本ブログは、タイムトラベルファンのために、タイムトラベルを扱った小説や論文、そして映画やマンガなどを紹介しています。ぜひ気楽に立ち寄って、ご一読ください。

 タイムマシン、タイムトラベル、タイムスリップ、時間ループ、パラレルワールド、時間に関係する作品を収集しています。まだまだ積読だけで読んでいない作品がたくさんあるのですが、順次読破したら本ブログにて感想を発表してゆきますね。

クロノス・ジョウンターの伝説 映画3

 製作:2019年 日本 上映時間:87分 監督:蜂須賀健太郎
 
 タイムトラベル小説の御大である梶尾真治の作品が原作となっている。
 住島重工の開発部門に勤務している吹原和彦は、毎日通勤時に通りかかる花屋で働いている蕗来美子に淡い恋心を抱いていた。ところが来美子の働く花屋の前で、タンクローリーが衝突して大惨事を引き起こす。そして悲しいかな、彼女もその事故に巻き込まれて死亡してしまうのだった。

 その頃、吹原が勤務する開発部門では、時間軸圧縮理論を採用して物質や生物を過去に送ることが可能なタイムマシン「クロノス・ジョウンター」の実験を行っていた。この実験はほぼ成功したものの、過去に送ったはずの物体などが現在に戻るのに、数分間のタイムロスが発生してしまうところが問題であった。

 そのタイムロスが起こる理由や法則は全く不明であったが、吹原は来美子を救うため過去に跳ぶ。だが実験で解明されていなかったタイムロスによって、一定の時間しか過去には存在できず、その反動でずっと先の未来に跳ばされてしまうのだった…。

 ネットの評価はそこそこ高いのだが、原作を読んでいる私には今一つ感情移入ができなかった。その最大の原因は、あまりにも低製作費であることだろう。そのため肝心のクロノス・ジョウンターがちゃちいこと、吹原が跳んだそれぞれの未来の時代考証がほとんど描かれていないこと、友人の風貌が全く変わっていないこと等であろう。
 さらにラストのハッピーエンドは、原作と乖離しているだけでなく、かなり科学的に無理があった。ともかく、SF映画はガンガン金を使い、いかに嘘を本物らしく見せるかが勝負なのである。またそれなりに納得できそうな理論体系を構築しておかないと、バカバカしくなってしまうものである。このあたりが邦画にSFものが少ないない原因なのであろうか。

評:蔵研人

三尺魂4

製作:2017年 日本 上映時間:93分 監督:加藤悦生

 奇妙なタイトルであるが、三尺とは打ち上げ花火の大きさであり、主人公が花火職人といったところである。ではこの作品は花火職人の映画なのかというと、全く的外れで自殺願望の4人が花火の爆発で死ぬたびに、自殺直前に戻ってしまうというタイムループのお話なのだ。SFというにはスケールが小さ過ぎるのでファンタジーと言うことにしておこうか。

 SNSの自殺サイトで知り合った4人が、何度もループを繰り返すうちに、タブーである本名を明かしたり、自殺の理由を打ち明けたりしてゆく。この4人の中には、一人だけ女子高生がおり、全員で彼女を説得するのだが、彼女の決意は固くなかなか説得に応じてくれない。

 低予算映画であるが、アイデア・脚本・演技力がしっかりしているため、最後まで面白く鑑賞させてもらった。製作費の少ない邦画のお手本的な作品であった。こんな映画をもっと創って欲しいものである。
 苦しいから、逃げたいから死にたい。それが冷静に考えたら違う事もあるかもしれない。やっぱり映画はハッピーエンドでなくてはね。それにしてもラストの幸福の連鎖とデジャブは実に見事だったね。


評:蔵研人

時空棋士

★★★☆
著者:新井政彦

 奨励会三段の棋士中島遼平が、時空を超えて幕末にタイムスリップしてしまう。彼は茶屋で仕事をしながらも、将棋の真剣師と対戦して連戦連勝を続け、とうとう伝説の棋士・天野宗歩の若かりし時代の天野留次郎と対局することになる。というなんとなく想像できそうなタイムスリップストーリーであるが、そのテーマが将棋だというところが斬新なのである。

 江戸の町並みや風俗に関しては、かなり丁寧に調査した跡がみられ、読みやすいし、きよとの淡い恋もなかなか楽しめる。ただ棋譜とその解説の部分が異常に長く、将棋を知らない読者は完全に置いてけぼり状態。将棋を良く知っている私も、最初のうちは棋譜とその解説部分を丁寧に読んでいたものの、だんだん面倒臭くなり棋譜部分はカットして読むようになってしまったくらいだ。
 
 この棋譜部分が特徴と言えばそれまでだが、本作は将棋本では無いのだから、棋譜部分はもっと簡略化したほうが良かったのでは無いだろうか。そのあたりの考え方は過去に大ヒットしたマンガの『ヒカルの碁』を参考にされたい。
 またすぐ天野宗歩を登場させるのではなく、もう少しストーリーに幅を持たせた方が良かったのではないだろうか。さらにラストにどんでん返しや、過去との繋がりを示唆するような何かを用意しなかったのも味気なかったね。

評:蔵研人

飛ぶ夢をしばらく見ない4

著者:山田太一

 奇妙なタイトルだが、「空を飛ぶ夢」というのは、青春真っ最中と言うことで、男女二人で飛ぶ場合は恋愛かつセックスの比喩だというらしい。ということで、本書の中身もエロチックで奇妙な展開が続くのだろう。

 田浦が初めて病院で逢ったときの睦子は67歳の老女だったのだが、なんと退院後は逢うたびに若返ってゆく。2度目に逢ったときは40代の女盛り、3度目は20代半ばの美女、4度目は悪戯っぽい18歳位の少女、そして最後は5歳の幼女として田浦の前に現れるのである。
 まさに女性版『ベンジャミンバトン』なのだが、本作の方が先に発表されているのでパクリではない。ただ『ベンジャミンバトン』の下敷きになったのが、1922年に書かれたF・スコット・フィッツジェラルドによる短編小説なので、そちらを参考にしたかどうかは著者に聞かないと分からない。

 36年前の作品なのだが、全く色褪せていない。本作の主人公田浦修司は、建設会社の営業部次長で妻子のある働き盛りの男性である。ただどうした弾みで精神を病んだのかは説明されていないが、寿司屋の二階から飛び降りて骨折して入院する。そしてそこで自殺未遂で骨折した睦子という謎の女と遭遇するのであるが、エロチックでかつ謎めいた序段はなかなか秀逸であった。

 本作は時間を逆行して生きる女性がヒロインなので、ある種のタイムトラベルファンタジーとも考えられるのだが、かなりきわどい性描写が多いのでエロ小説の趣も備えている。またある意味で、異常世界と精神異常と狂気の漂う純文学と言えなくもないし、当時50歳だった著者の「初老人の恋愛願望」かもしれない。
 いずれにせよ、最初から最後まで目の離せない興味深い小説であることは間違いないだろう。ただ拳銃を携えて映画館で強盗事件を起こす下りは、全く必然性もなく馴染めなかった。またラストも予想の範囲内で、特に目を見張る展開がなかったのも味気なかったね。
 さて余談であるが、本作は1990年に細川俊之、石田えり主演で映画化されているようなので、機会があればそちらも鑑賞してみたいものである。

評:蔵研人


時間エージェント3

著者:小松左京

 私が読んだのはポプラ文庫の『小松左京セレクション2』に収録されたもので、タイトルの作品以外に四次元トイレ、辺境の寝床、米金闘争、なまぬるい国へやって来たスパイ、売主婦禁止法、愛の空間の6作も併録されていた。
 『時間エージェント』は時間管理局の取締り話を面白おかしく描いた連作で、全8話構成で約220頁を占めている。また本収録7作品の中では、唯一のタイムトラベル小説だった。

 本作が書かれたのは1965年だし、発表誌が平凡パンチということを考えると仕方がないのだが、読みやすいのは良いのだが、バカバカしくて単調で底が浅い小説だったのは期待外れであった。小説より漫画のような作品なのだが、なんと1979年にあのルパン三世のモンキー・パンチによって漫画化されているではないか。この漫画は未読だが、表紙を見る限りエロっぽさも含めてピッタシカンカンかもしれないね。

 さて本書に収録されている『時間エージェント』以外の6作の短編についても、すべてが軽くてエロっぽいドタバタ作品で占められており、アイデアとしては面白いのだが、私が期待しているものではなかったのが残念であった。

評:蔵研人

時間は存在しない3

著者:カルロ・ロヴェッリ 翻訳:冨永星

 下記のような丁寧な構成になっていて、読み易いのだが、読めば読むほど難解になってきて、ほぼギブアップ状況のまま無理矢理完読してしまったかもしれない。

もっとも大きな謎、それはおそらく時間
第一部 時間の崩壊
 第1章 所変われば時間も変わる
 第2章 時間には方向がない
 第3章 「現在」の終わり
 第4章 時間と事物は切り離せない
 第5章 時間の最小単位
第二部 時間のない世界
 第6章 この世界は、物ではなく出来事でできている
 第7章 語法がうまく合っていない
 第8章 関係としての力学
第三部 時間の源へ
 第9章 時とは無知なり
 第10章 視点
 第11章 特殊性から生じるもの
 第12章 マドレーヌの香り
 第13章 時の起源
眠りの姉
日本語版解説
訳者あとがき
原注

 著者はイタリア生まれの理論物理学者で、現在はフランスのエクス=マルセイユ大学の理論物理学研究室で量子重力理論の研究チームを率いている。
 本書では、「時間はいつでもどこでも同じように経過するわけではなく、過去から未来へと流れるわけでもない」という驚くべき考察を展開している。だがそれにもかかわらず、私たちが時間が存在するように感じるのはなぜなのか。
 その答えを物理学ではなく、哲学や脳科学などの知見を援用しながら論じているところがユニークである。だがその辺りが本書を難解にしている源なのかもしれない。

評:蔵研人

ルート2253

原作:藤野 千夜 漫画:志村 貴子

 『ルート225』は、藤野千夜が芥川賞受賞後に書き下ろした長編小説であるが、その後多部未華子主演で映画化され、さらに志村貴子が描く漫画にもなっている。私は何れも読んだり観たりしているのだが、何と言ってもかなり昔のことで、ほとんどあらすじを忘れてしまった。
 覚えていたのは弟を探しに行った姉が、やっと公園で弟を見つけるのだが、なかなか家に帰ることが出来ない。…と言うような出だしの部分と、映画での多部ちゃんがまさにぴったしカンカンだったということだけであった。このたびたまたま本棚の隅っこでこの漫画版を見つけ、漫画ならすぐに読めるだろうと考え再読することにしたのだ。

 まずタイトル 『ルート225』の意味は、単純に数学の√225=15で、ヒロインの年齢ということになる。また同時に弟が見つかった公園に面した国道、つまりパラレルワールドの入口を指すのだろうか…。
 さて15歳と言えばまさに反抗期である。今まで仲の良かった友達になんとなくちぐはぐ感を覚えたり、ことに両親に対してはかなり煩わしい存在に思えてくる年令であろう。だからと言ってまだ生活力がないため、渋々親の言うことにも従っている。

 そんなヒロインの心理状況がパラレルワールドを産み出してしまったのだろうか。だがやはり異世界には馴染めず、弟と二人で必死に元の世界に戻ろうとする。またあんなに鬱陶しかった両親にも逢いたくなる。そしてそんなもう一つの自分の心にも気付いて行く。パラレルワールド自体については、なぜこの世界に迷い込んだのかとか、なぜ自分たちと両親だけが存在しないのかとか、いろいろ突っ込見所が多い。だが本作をSFではなく純文学として捉えれば、その辺りをあまり突っ込んでも意味がないだろう。ただラストがいまひとつ解り辛いので、もう一度小説を読んで確認してみたいと思う。

評:蔵研人

トキオカシ

★★☆
著者:萩原麻里

 富士見ミステリーのライトノベルである。タイムトラベルものということで購入したのだが、どうも著者の作風と波長が合わないようだ。駄作とまでは言わないが、こんな軽い小説をなかなか消化できず、かなりまごまごしてしまった。そして昨日やっと読み終わったのだが、特に感動もなければ充実感も湧いてこない。

 序盤は学園ラブストーリー風の展開だったのだが、中盤に明治時代にタイムスリップしたあたりから、急におどろおどろしい雰囲気に包まれて萬葉集まで飛び出してくる。さて「時置師」と書いてトキオカシと読むそうだが、彼等一族は永遠に若返りが止まらないため、他人の記憶を食らうことによって、一時的に若返りを阻止して現状を保持しているという。

 トキオカシたちの目的は何なのか、そしてどんな活躍をするのだろうか。と目を皿のように読み進めたのだが、トキオカシの超人的能力は何も発動されないし、主人公は相変わらず弱々しくて、誰の力にもなれないのだ。
 また登場人物や舞台などもかなり限定的で、スケール感も乏しくストーリーも単調である。そして退屈感ばかりが充満してのめり込めないまま、いつのまにか終劇となってしまったのである。なんだこりゃあ!。


 せめてタイムスリップしてきた意味くらいは解明されてもよいのだが、思わせぶりな説明はあるのだが、なにかスッキリとしない。かなり中途半端な気分のまま、本書を閉じることになってしまったのである。
 さてよくよく調べてみると、本作にはまだ続編があるようなのだ。その続編は「カタリ・カタリ トキオカシ(2)」なのだが、もう読む気はしないな…。

評:蔵研人

ふしぎ駄菓子屋 銭天堂

★★★☆
著者:廣嶋 玲子

 ときどき思い出したように町の路地裏に佇む奇妙な駄菓子屋さん。そこで店番をしているのは、和服を着てどっしりとしたお相撲さんのようなおばさんである。真っ赤な口紅を塗りたくり、色とりどりの大きなガラス玉のかんざしを何本もさしている派手な彼女は「紅子」という名で、古いお金を集めているようである。

 また店に置いてあるものは、「猫目アメ」、「骨まで愛して・骨形カルシウムラムネ」、「闇のカクテルジュース」、「妖怪ガムガム」、「ぶるぶる幽霊ゼリー」などなど、見たこともない摩訶不思議なお菓子ばかりである。そしてこれらを食べることによって、魔法のような不思議な現象が起こるのである。

 本書では「型ぬき人魚グミ」、「猛獣ビスケット」、「ホーンテッドアイス」、「釣り鯛焼き」、「カリスマボンボン」、「クッキングツリー」、「閉店」の七短編が掲載されているが、読み易くて面白いので遅読の私でさえ1時間程度で読破してしまった。
 好評につき、現在13巻まで出版され、アニメ映画化されたようである。なかなか面白い小説だが、なんとなく藤子不二雄の『笑うセールスマン』を思い出してしまうのは私だけではないだろう。

評:蔵研人

アレックス・タイムトラベル3

著者:清原なつの

 タイトルの『アレックス・タイムトラベル』シリーズは、長編の少ない著者が初めて挑んだ連作長編マンガであり、『真珠とり』と並ぶ著者の代表的なSFマンガ である。本書には次の5篇が収録されている。
 「未来より愛をこめて」、「秘密の園から」、「ロゼ」、「ローズガーデンの午後」、「思い出のトロピカル・パラダイス」。これらの主なテーマは管理社会からの脱出、青いバラの秘密、時間を超えた逃避行、避けられない核戦争、タイムパラドックスなどで、正統派SFマンガと言ってもよいだろう。

 そのほか短編として以下の4編も収められている。
「流水子さんに花束を」   驚異の記憶力を身につけてしまったら
「聖バレンタインの幽霊」  亡くなった彼氏と瓜二つの男が現れたら
「カメを待ちながら」    戦死した恋人を待ち続けていたら
「飛行少年モッ君の場合」 目覚めると背中に天使の翼が生えていたら

 どの作品も愛がテーマの少女漫画タッチなので、SFマンガとしては今一つ物足りない。まあ「SF初心者の女性向き」といった趣きであろうか・・・。
 
評:蔵研人

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