タイムトラベル 本と映画とマンガ

 本ブログは、タイムトラベルファンのために、タイムトラベルを扱った小説や論文、そして映画やマンガなどを紹介しています。ぜひ気楽に立ち寄って、ご一読ください。

 タイムマシン、タイムトラベル、タイムスリップ、時間ループ、パラレルワールド、時間に関係する作品を収集しています。まだまだ積読だけで読んでいない作品がたくさんあるのですが、順次読破したら本ブログにて感想を発表してゆきますね。

すばらしきかな人生4

すばらしきかな
原作:北原雅紀 作画:若狭星

  『素晴らしき哉、人生!』は1946年に製作された米国の名作映画であるが、本作はその名作映画のオマージュ版コミックといったところだろうか。
 もしもあの時に戻ることができたら、今の自分はこんな不幸にはならないはずだ……。と誰もが一度は考えたことがあるだろう。それを実現してくれるのが、バ-『ボレロ』のマスター・坂巻友郎である。
 ただしその代償は10年の寿命と引き換えだというのだ。仏のような顔付をしているマスターだが、果たして彼は天使か悪魔か死神なのだろうか……。

 本作はこのマスター・坂巻友郎が、藤子不二雄Aの『笑ゥせぇるすまん』のような狂言回しを務めるオムニバス方式を採用している。第一巻には『あの日に帰りたい』ほか9作が収められており全3巻の構成になっているのだ。全ての話がなかなか良くできているのだが、どうしても似たような話になり、オチが読めてしまうところが弱点かもしれないが、読み応え十分なことは間違いないので安心して欲しい。

 いずれにせよ、絵は綺麗だし、原作ものなので一つ一つの話は分かり易くしっかりしているし、全三巻という手ごろな構成なので誰にでも楽しめるだろう。ましてやタイムトラベルファンは必読かもしれないね。

評:蔵研人

夏のダイヤモンド3

夏のダイヤモンド

著者:高瀬美恵

 ダイヤモンドとは野球のグランドのことを指す。したがってタイトルの由来は、『夏の野球場での出来事』と言ってもいいだろう。ということで、本作は小学生の頃に野球チームで活躍した本宮、一条、大滝、久坂の4人のストーリーと言うことになる。もっとも話は大人になってからの彼等と、少年時代の彼等の時代を往復するドタバタSFという構成になっているのだが……。

 主役は一人称で語る本宮と親友のイッチこと一条であり、野球がテーマになっているにも拘らず、著者はなんと女性なのである。その影響かどちらかと言えば脇役で登場する二人の女子小学生のほうに、著者のこころが乗り移っているかのようであった。この二人は正反対の性格なのだが、著者のあとがきを読むと、大学になってから急変した著者の性格を反映しているような気がする。まあ女性というものは二面性を持つ生き物であり、年を重ねるにしたがって本性が現れるものなんだね。

 タイムトラベル小説なのだが、タイムマシンの自転車が酷すぎるし、時間論やタイムパラドックスもいい加減だ。まあどちらにせよ真剣に読む小説ではないし、ストーリーも浅くて退屈なのだが、読み易さだけは抜群で、あっという間に読破してしまった。とにかくフワフワして軽い作品なので、病院で順番待ちするときに、斜め読みするにはもってこいの小説かもしれないね。

評:蔵研人

一秒先の彼女4

一秒先の彼女

製作:2020年 台湾 上映時間:119分 監督:チェン・ユーシュン

 人よりワンテンポ早い郵便局員のシャオチーと、逆にワンテンポ遅いグアタイのラブストーリーである。オープニングは、朝起きたら大切なバレンタインデーが消失してしまい、日焼けだけが残ったと、真っ黒な顔で交番に駆け込むシャオチーのドタバタシーンが印象的だ。はじめは何の意味かよく分からなかったのだが、実はそのバレンタインデーにイケメンの彼とデートの約束をしていたのである。ではなぜその日に限って突然、彼女の記憶が消えてしまったのだろうか。
 その謎解きは、終盤に明らかにされるのだが、そこに辿り着くまでには数多くの伏線が見事に紡がれていたし、そもそもストーリー自体もなかなか楽しかったね。その一つはシャオチーを演じたリー・ペイユーという女優のキャラのユニークさのお陰かもしれない。

 彼女は決して美人とは言えないが、愛嬌のある表情に抜群のスタイルが見事にマッチングして、本作のようなファンタジックラブコメのヒロインにはピッタシカンカンなのだ。だから彼女の行動を観ているだけで、楽しくて堪らなくなってしまったのである。さらにオマケと言っては失礼だが、「どこかで聞いたような声と顔だな」と思った郵便局の同僚役を演じていたのが、台湾の美人囲碁棋士の黒嘉嘉ことヘイ・ジャアジャアだったのは驚きだった。

 いずれにせよ本作最大の見どころは、「全ての謎を解き明かしながら美しい風景の中を走り続けるバス」が織りなしてゆくスペクタクルシーンであろう。さらにエンドロールで流れるうっとりする音楽を聴いていると、なぜかうっすらと涙が滲んでくるから不思議である。したがってこのエンドロールは飛ばさないで、かならずじっくりと味わって欲しいものである。

  
評:蔵研人

トゥモロー・ウォー

トゥモロー・ウォー

★★★☆
製作:2021年 米国 上映時間:138分 監督:クリス・マッケイ

 ある日突然、2051年からやってきた未来人たちが、人類は30年後に未知の生物と戦争になり、やがて敗北するという衝撃の事実を告げる。そして人類が生き残るためには、現代から兵士を未来に送り込み、戦いに参加するしかないのだと言う。
 それで全世界が一丸となり、次々と戦闘員を送り込むのだが、生還できるものは3割に満たなかった。だが地球と愛する子供たちを守るため、一般人たちも招集されることになる。
 元軍人で現在は高校教師をしている主人公のダンも、7日間の兵役を命じられ未来へと旅立つのだが、そこで司令官を務めていたのは、なんと自分の娘ミューリであった。さらに彼女は強力な未知の生物ホワイトスパイクのメスを倒せる毒物の研究もしていたのである。

 とにかく壮大なストーリーであり、ホワイトスパイクの造形もなかなか素晴らしい。ただ全世界が一丸となっているという割には、現代から送られてゆく戦士たちの人数が少ないし、ド素人過ぎてほとんど役に立たないところがショボイ。それはラストも同様で、全世界どころか米国軍自体も消極的で、個人レベルの探検隊しか組織できないと言うのも情けなさ過ぎる。なんとなく超大作とB級が混在したような微妙な作品ではあったが、ハラハラドキドキ感が半端ではなく、かなり楽しませてくれることも間違いないだろう。

 
評:蔵研人

4

道

著者:白石一文

 ニコラ・ド・スタールが描いた『道』という一枚の絵画をじっと見つめていると、時間を超越して過去や未来にタイムリープしてしまい、そこで人生をやり直そうというお話である。だからと言ってSFという雰囲気ではなく、人間が生きる真理のようなものを描きたかったのだろうか。
 本書の主人公である唐沢功一郎は、大手食品メーカーで品質管理を統括する優秀な男である。だが残念なことに3年前に愛娘の美雨を事故で亡くし、それ以来、精神を病み自殺未遂を繰り返す妻を介抱しながら暮らしている。

 そんな苦しい世界から抜け出したくなった功一郎は、ある方法を使って美雨が事故に遭う直前に戻り、彼女を救出することを決心する。その方法とは、彼が高校受験に失敗した時に、過去に戻り受験をやり直したときと同じやり方であり、『道』という絵画を使って過去に戻ることであった。

 このあたりまでは、タイムマシン代わりに絵画を使うということ以外は、タイムトラベルものによくある展開なのだが、実はタイムトラベルというよりは、時間を遡るパラレルワールドの世界と言ったほうがよいのかもしれない。彼は3回タイムリープを繰り返すのだが、移動するたびに別の世界へ跳んでしまうのである。従って前の世界では東日本大震災が起こったのに、今の世界ではまだ起きていないとか、またそれほど重大な出来事ではなくとも、微妙に変化しているようであった。

 また前の世界に存在していた自分自身が今の世界に跳んできたのではなく、今の世界に住む自分の肉体の中に、前の世界の自分の意識だけが乗り移ったのだ。では前の世界の自分の肉体はどうなってしまったのだろうか。普通に考えれば、前の世界で絵画の前で死んでいることになるのだが、結論は異なっていた。さらにでは今の世界の自分の意識は、一体どこへ行ってしまったのだろうか。これらはラストに全て解明されるのだが、分かったような分からないような、それでいて実に見事な論理で締めくくっている。

 もしあのとき、ああすればよかったと考えてもどうにもならないが、万一その願いが叶ったとしても、結局は何かほかの運命に巻き込まれてしまうのである。それに人の運命なんていうものは、どうにかなるとかならないとかという類のものではなく、たまたま選んだ道の一つでしかない。それが我々の住む世界の心理なのかもしれない。
 さて「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」とは、フランスの画家ポール・ゴーギャンの有名な絵画のタイトルであるが、本作にもなんとなくそんな臭いが漂っていると感じたのは私の勝手な思い込みなのだろうか……。

評:蔵研人

タイム・ダイレイション-死のベッド-3

タイム・ダイレイション

製作:2016年 カナダ 上映時間:88分 監督:ジェフ・マー

 なんとなくタイムトラブル系を連想させる邦題だが、時間差のある電話ということを除けば、昔の呪いが込められた古いベッドの話と言うだけで、SF味はほとんどしないホラー作品であった。それなら原題の『BED OF THE DEAD』のままでよかったのに。
 なにやら騙された気分で少しムカムカする。また1996年に製作された韓国映画に『銀杏のベッド』という作品があったが、なんとなくそのパクリのような気がしたのは私だけであろうか。

 ストーリーは単純で、風俗宿で乱交パーティーを企んだ4人だったが、巨大な古めかしいベッドに横たわると、それぞれが次から次へと奇妙な幻覚を見て怪死してしまう。そして生き残った女性が携帯から警察に通報するのだが、電話を受けたのは彼女の時間とは2時間の時差があり、彼女は火災にあって既にベッドの上で死んでいるというのだ。というようなストーリーで、ほとんどがベッドの周辺で展開してゆく。

 まあB級ホラーと言ってしまえばそれまでだが、それほど怖くもなくエロ度も薄いので、彼女と観てもいいかもしれない。そしてあのラストシーンだけは、まさにB級ホラーの王道だね。ところでベッドは燃えたはずじゃなかったの……。
 
 
評:蔵研人

タイムリーパー3

タイムリーパー

製作:2019年 カナダ 上映時間:92分 監督:トニー・ディーン・スミス

 ジェームスはなぜかときどき未来を垣間見ることができる。その能力を知り合いのギャングに見込まれて高価な宝石を売りさばくため預かるのだが、その宝石を巡ってギャングの手下たちと危険なチェイスがはじまるのだった。
 本作はタイムトラベルものなのだが、タイムマシン代わりに注射器を使って薬を体内に投入するという部分がユニークである。ただなぜそんなことができるのかの説明はほとんどなく、多分注射器は低予算のための苦肉の策なのであろう。

 またテーマ的には好きな分野だし、スピード感のあるストーリー展開や、過去と未来の複雑な絡みもなかなか面白いのだが、よくよく考えるとなんとなくバカバカしい話なのだ。つまり取って付けたような話で、全員が突っ込みどころ満載の納得できない行動ばかりしているし、終盤に奇抜などんでん返しがあるわけでもない。結局のところただただジェームスが、独りでドタバタ劇を演じていただけ、というオチもいかがなものであろうか。
 
評:蔵研人

パラレル多次元世界3

パラレル多次元世界

製作:2018年 カナダ 上映時間:104分 監督:イサーク・エスバン

 真夜中に犬の世話をするため部屋から出た女性が、マスクをした何者かに殺害される。そして犯人がマスクを外すと、なんとそいつは殺害された女性と同一人物だった。という奇妙なオープニングに心躍らされるのだが、タイトルを知っているので、すぐにパラレルワールドからやってきた自分自身なのだなと気が付いてしまう。
 つまり犯人が住む世界では既に夫が亡くなっているのだが、この世界ではまだ元気に暮らしている。それで犯人はまだ夫が生きているこの世界に引っ越してきたという訳である。もちろんそのために邪魔になる自分自身を消したのだ。
 ただ面白かったのはこのオープニングだけで、この後に続く話は4人の若者たちの話であり、パラレルワールドの入口以外はオープニングの女性とはなんの関連も持たない。

 さてひょんなことから、シェアハウスに住む若者4人が壁の中にある部屋をみつけて侵入すると、誰かが住んでいた痕跡が残っており、部屋の中には大きな鏡が立てかけてあった。そうこの部屋を使っていたのが、オープニングの犯人であり、そこにある鏡こそパラレルワールドへの入口だったのである。
 さらにこの鏡からは一つだけではなく、いくつものパラレルワールドに繋がっており、戻ってくるときだけは同じ場所に戻る仕組みになっていた。さらに別世界では時間が180倍に膨張しているため、別世界での15分間がこちらではたった5秒であることにも解明される。

 さらにパラレルワールドには自分と同一人物が住んでいて、世の中の仕組みも似ているのだが、モナ・リザの髪がショートカットだったり、進化した発明品が登場していたりと、微妙に異なっているのであった。彼等はそれを利用してアプリや新製品、絵画などをパクったりして金儲けに翻弄することになる。
 ただこんなことを続けていてもいいことばかり起こるはずがなく、4人の友情にもひび割れ現象が起こってくる。そんな中である日、大変な事件が起こってしまうのであった……。

 パラレルワールドそのものは、私好みの興味深いテーマではあるのだが、なんだかすっきりしない。本作がそこそこ面白かったのは認めるが、タイムトラベルやパラレルワールドを利用して金儲けをしたり、自分と入れ替わったりする話は新鮮味がないし、後半に大きなどんでん返しが仕込まれている訳でもなく、もう一捻りが欲しかったね。またしいて言えば本作の真のテーマは、「パラレルワールドを利用したひとの欲望と罪深さ」だったのだろうか……。
 
評:蔵研人

パラドクス

パラドクス

★★★☆
製作:2018年 メキシコ 上映時間:101分 監督:アイザック・エスバン

 日本では珍しいメキシコ製の映画である。タイムループと言えばそんな展開ではあるが、どうもSFではなさそうだし、ホラーというほど怖くはない。どこか奥行きを感じるのだが、よく理解できない難解さと狂気が漂っている不条理スリラーと言うべきだろうか。

 刑事マルコに自宅へ踏み込まれたカルロスとオリバーの兄弟は、隙をついて非常階段から逃亡を図る。だが兄カルロスがマルコに足を撃たれて身動きが取れなくなってしまう。すると謎の爆発音が聞こえ、全ての扉が開かなくなってしまう。さらには9階から1階に降りでもまた9階に逆戻りしてしまうのだった。
 
 すると画面が真っ暗になって、全く異なるシーンへと移動してしまう。そこには反抗期の少年ダニエルと妹カミーラ、そして母親サンドラとその恋人ロベルトが旅の支度をしているではないか。旅の途中ガソリンスタンドでロベルトが、アレルギー体質のカミーラーにジュースを飲ませてしまう。そのためカミーラーが喘息を引き起こしてしまう。さらに喘息止めの吸入器をロベルトが踏んづけてしまい、怒り狂ったサンドラが家に引き返せと叫ぶ。
 それで一家は慌てて家に引き返すのだが、途中で謎の爆発音がして、行けども行けどもまた元の道に戻ってしまうのだった。そうあの非常階段での出来事と全く同じ無限ループが起こってしまったのである。

 一体これはどういうことなのだろうか、また非常階段での出来事と、この家族のドライブとはどういう関連があるのだろうか。全く何も分からないまま、突然画面は35年後の世界へと切り替わってしまうのである。なんとそこは……。
 前述したとおり、とにかく難解で理解しがたい作品なのだ。ただ35年のループを繰り返して若者が中年になり、中年が老人になり、老人が死ぬとまた中年にその運命が乗り移る、というような永遠の摂理を描いていることだけは間違いない。また人の人生を「回し車を死ぬまで回し続けるだけのハムスター」と同一視したような、皮肉で塗り固められた作品であることも否めないだろう。
 
  
評:蔵研人

T-NET タイムネット

T-NET
★★★☆
製作:2020年 イタリア 上映時間:83分 監督:シロ・ソレンティーノ

 イタリア映画と言えば恋愛ものとかヒューマンドラマしか頭に浮かばないため、本作のようなタイムトラベルものが存在すること自体に驚いてしまった。またB級作品ではあるが、イタリアの田舎町の景色にも癒されるし、ゆったりした気分で観れるところが良かった。

 田舎のある一日が三回繰り返されるだけなりのだが、本人が三人登場するのだからタイムループという訳でもない。つまり少し時間をずらして数時間のタイムトラベルをするというお話なのだ。たったそれだけなのだが、そこそこよくできていて何となく2007年のスペイン映画『タイム クライムス』と似たような作品であった。
 ストーリー自体は単純なのだが、歪んでいるようなタイムパラドックスを説明するのは面倒くさい。ただ父と息子の親子愛を感じつつ、過去と現在を往来する面白さを楽しめる作品であることは保証する。だからあとは、自分の目で見て確認してもらうよりないだろう。


評:蔵研人

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