タイムトラベル 本と映画とマンガ

 本ブログは、タイムトラベルファンのために、タイムトラベルを扱った小説や論文、そして映画やマンガなどを紹介しています。ぜひ気楽に立ち寄って、ご一読ください。

 タイムマシン、タイムトラベル、タイムスリップ、時間ループ、パラレルワールド、時間に関係する作品を収集しています。まだまだ積読だけで読んでいない作品がたくさんあるのですが、順次読破したら本ブログにて感想を発表してゆきますね。

未来医師3

著者:フィリップ・K・ディック

 医師のパーソンズは、ある日突然25世紀の未来へタイムスリップしてしまう。そこでは人種の混交が進んでいて、白人社会ではなく黄色人種が支配する世界に変貌していた。
 また平均寿命は15歳で、廷命するための医療行為が重大な罪とされていたのである。だがこの変態的社会に異を唱える種族もいて、パーソンズは彼等によってタイムスリップさせられたのであった。

 ディックの作品としては、余りにも遅過ぎる翻訳本であるが、読んでいて何となくその理由が理解出来た。つまりありていに言えば、ディック自身がほとんど評価していないほど、彼の駄作の一つだからである。

 確かにストーリー全体の構成がちぐはぐだし、人物描写にも深味がない。だが後半になって、冷凍保存されているコリスをどうしても救えない謎に惹かれた。また過去へのタイムトラべルにおけるパラドックスとのしがらみも巧く描かれているではないか。
 まるでこの後半のために無理やり創ったお話という気がしないでもない。そんなタッチのSF小説であるが、タイムトラべルファンなら、一度読んでおいたほうが良いだろう。

評:蔵研人

虹色ほたる3

著者:川口雅幸

 上下巻を合併しても約500頁程度の小説だが、なぜ上・下二冊に分冊したのだろうか。出版社側の経営判断なのだと思うが、文庫本を二冊合計して1000円を超える価格はちょっと読者側には厳しいね。だがそれにしても、どの書店にも平積されているところをみれば、かなり売れているのだろう。

 著者の川口雅幸氏は、1971年生まれの中年男性であるが、ホームページ上で本作を連載していたという。それをアルファポリス社に見い出されて、2007年に単行本として上梓され、出版界にデビューしたという。最近こうした作家が増えてきたことは、同様の志を持つブロガーとしては実に喜ばしい限りである。

 さてストーリーのほうだが、夏休みのある日、小学6年生のユウタは、亡父との思い出の残る山奥のダムを一人訪れる。そこでユウタは突然雷雨に襲われ、足を滑らせて気を失ってしまう。気がつくとそこは1970年代の村の中であり、まだダムも作られてはいなかった。
 そこにはカブト虫やクワガタ虫がうじゃうじゃ生息し、蛍もたくさん飛び交っている。まさに失われた日本の原風景が目前に展開されていたのだ。そしてその世界では、同年令のケンゾーとの冒険、そして妹のような謎の少女・さえ子との出会いがある。

 いずれは元の世界に戻らねばならない運命のユウタは、夏休みを思い切りこの不思議な村で遊びほうけることに決める。そしてやがてやってくる友たちとの別れの日…。
 ラストはいきなり10年後の世界だ。そこで感動のクライマックスを迎えることになる。本作は、誰の心の中にも存在するノスタルジーを、甘く切ないオブラートで包んだファンタジー作品と言えよう。

 やや子供向けの作品であるが、大人が読んでも十分楽しめるだろう。ただ少し残念なのは、過去にも未来にも亡父が現われないことである。そのあたりも含めて、余りにもべタ過ぎる展開が物足りない。無印良品ではあるが、ファンタジーとしては、もうひと捻りが不足していたのではないだろうか。

評:蔵研人

きみがぼくを見つけた日3

製作:2009年 米国 上映時間:110分 監督:ロベルト・シュヴェンケ 原作:オードリー・ニッフェネガー

 この映画を観て、原題が『ザ・タイムトラべラーズ・ワイフ』だということを知って驚いてしまった。この原作本は、かなり前から私の蔵書に加わっているのだが、長い間未読のまま本棚の奥深く眠っていた。だから『きみがぼくを見つけた日』、というタイトルの本が出たとき、同じ小説とは知らずにダブって購入してしまい、これまた未読のまま私の書斎で眠っていたのである。

 タイムトラべルファンとしては、この映画が上映されたときも、非常に気になっていたのだが、いろいろ事情があって劇場で観ることが出来なかった。それでDVDが出るまでじっと待ち続けたのだが、かなりレンタル中が続き、やっと今頃になって手にすることが叶った訳である。
 そこで初めて原題を知ったと同時に、タイトルは異なるが、内容が全く同じである蔵書が二冊あることにも気付いたのである。上・下巻あるので、正確には四冊ということになるけどね。

 そしてDVDで映画は観たものの、いまだにこの原作は、書斎で眠り続けているありさまだ。ストーリーの大きな流れとしては、自分の意思とは関係なく、過去や未来にタイムスリップしてしまう、時間障害という不思議な体質を持った男と、その妻の半生を描いた奇妙なお話といったところか。『ベンジャミン・バトン』同様、特異体質を持つ男の切ないラブストーリーなのである。

 ただ映画には「おおむね2時間」という時間制限が伴うため、半生や一生を描く作品をその時間内に収めるのは至難の技であろう。だからといって、よほどの大作でもない限り、三部作などという贅沢は不可能である。従って、ある程度無理を承知で映画化したに違いない。そのせいか、ストーリーの一部に理解し難い部分があった。

 
 それで急遽、原作を読んでみることにしたわけである。原作のほうは、前半は何度もヘンリーがクレアのもとを訪れる。ヘンリーが時空を跳んでくるたびに、クレアは成長してゆくのだが、ヘンリーのほうは中年だったり、若かったりと転々バラバラで、一定の法則もないようだ。とにかく嫌になるほど頻繁にタイムスリップを繰り返すのだ。

 だがどんなに若くとも、現実のへンリーが始めてクレアとめぐり合った27才より若いということはないのだ。この現象はたぶん、タイムスリップする原因とも関わってくるのであろう。
 つまりへンリーがタイムスリップする場所は、彼が大切に思っている人がいる場所ということになる。だからこそ最愛のクレアのもとに何度も現われるのだろうか。

 上巻はへンリーとクレアが無事結婚式を終えるまでを描くのだが、余りにも執拗なタイムスリップに辟易してしまう。まだなぜ自分の意志とは無関係に、全裸でタイムスリップしてしまうのかは明かされていない。タイムスリップのつど服を探すという奇妙な展開が執拗に続くことに辟易してしまう。
 下巻を読み終えるにはかなり時間がかかってしまった。上巻の愁眉はへンリーとクレアの結婚であったが、下巻では二人の子供を生むことが焦点となっている。

 つまり子供にもへンリーの遺伝子が承継されるため、胎児の時代からタイムスリップしてしまい、結局母体を損傷した挙句に流産となってしまうからである。だが胎児がどこにタイムスリップしてしまったのかまでは描かれていない。
 結局へンリーがタイムスリップしてしまう原因は不明のまま、多分特殊な遺伝子のために起こるのだという訳の判らない理屈の中に封じ込められてしまうのだ。こうして延々と出口の見つからないホームドラマが続くので、途中でだんだん嫌気がさしてくる。

 ただしラストの収束だけは実に見事で、ここでタイムスリップと永遠の愛が繋がってくる。ただゴメスとクレアの不倫だけは、全く意味が無いしこの永遠の愛に水をさす行為にしか写らないのが残念である。
 映画のほうはだいぶ原作アレンジしているが、実によくまとめている。皮肉めいているが、それがこの長ったらしい原作をやっと読み終わって、得た収穫かもしれない。

評:蔵研人

プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂4

製作:2010年 米国 上映時間:117分 監督:マイク・ニューウェル 主演:ジェイク・ギレンホール

 舞台は古代ペルシャ。時間を遡って過去へ行ける「時間の砂」をめぐっての、アクションアドべンチャー映画である。めまぐるしいアクションはもちらんのこと、古代ペルシャの街や城の映像もすごい。

 また親子愛・兄弟愛・お姫さまとの冒険に、ちょっとしたタイムトラべル。神秘的で壮大なストーリー、そして懲悪勧善で安心して観られるラストシーン。さすがディズニーと手を叩きたくなるほどの出来映えであった。

 主演はジェィク・ギンレイホールで、なかなかスピード感があり、セクシーでかっこよいね。またお姫さま役の女優もなかなか可愛いじゃないの。
 僕はだいたいインディージョーンズとかハムナプトラといったアドべンチャー系が苦手なのだけれど、本作に限っては十分楽しく鑑賞出来た。やはりタイムトラべルがからむからであろうか。 

評:蔵研人

セブンティーン・アゲイン4

製作:2009年 米国 上映時間:102分 監督:バー・スティアーズ

 高校バスケットボールのスター選手マイクは、大学のスカウトが見守る大事な試合を投げ出し、恋人・スカーレットの元へ走る。スカーレットが妊娠したためである。
 だがそのために、大学進学は不可能となり、過去の栄光も水の泡。20年間、毎日それを悔やむ人生を続けたため、妻子に見捨てられ、家庭は崩壊寸前。そのうえ会社での昇進も、完璧に絶望的な状態となる。
 八方塞がりのマイクには、もしもう一度青春時代に戻れたらと、強く悔やみ・念ずる以外に成すすべがない。ところがその願いが通じたのか、ある大雨の日に17歳の姿に戻っている自分を発見して驚愕する。

 このお話は『リプレイ』のように、若かりし日にタイムスリップするのではなく、同時代に体だけが若返るのである。だから人生をやり直すといっても、昔と同じ環境で再出発するわけではないのだ。
 従って、マイクの感性は現代高校生としては、古過ぎてオジン臭い。そのうえ編入する高校には、娘と息子も通学しているのである。いってみれば、トム・ハンクスの『ビック』の逆バージョンなのだ。
 そこがなかなか面白いし、若かりし日のマイクを演じたザック・エフロンの好演も光っていたね。また彼のクールなイケ面とオジンの感性がブレンドされ、なかなか好感の持てる青年に仕上がっているじゃないの。僕はゲイじゃないけど、オジさんからみても惚々するほどカッコ良くみえたね。

 お決まりのパターンかもしれないけれど、息子との友情と妻への愛情にはウルウルとなってしまった。さらに娘に迫られて、必死に逃げ回わるシーンには大笑い。
 そしてラストシーンは、100%予想通りの展開であったが、それでも胸にジーンときてしまう。ハラハラ・ドキドキ、笑いあり涙ありで、おまけに「後ばかり振り返らず、前を見よう!」という教訓付、絵に描いたようなハッピーエンド。いくつか辻褄の合わない部分もあるが、僕はこういう話に心が癒される気質なのだから、楽しくて嬉しくてしょうがない。

評:蔵研人

たんぽぽ娘4

著者:ロバート・F・ヤング

 1962年にロバート・F・ヤングが発表したラブファンタジー作品。ロマンチックSF短編の旗手である梶尾真治が影響を受けた作品だという。だからファンタジーSFファンには堪らない魅力を持つ短編なのだ。
 ところが残念なことに絶版で手に入り難い。こうなると益々欲しくなるのがファン心理なのである。それでアマゾンマーケットプレイスで探したら、『たんぽぽ娘ー海外ロマンチックSF傑作選2』が、何と中古品で15,000円也!
 さすがの私も15,000円払うほどオタクではない。そもそも短編なので、ほかのタイトルで収録されている書籍があるはずである。そう考えて調べたところ、文春文庫の『奇妙なはなし』というタイトルの中に、『たんぽぽ娘』が収録されているではないか!。
 ところがこちらも絶版で、やはりアマゾンで中古品が2,600円~8,500円とある。みんな良く知っているのだ。それで地元の図書館の蔵書をネットで検索したら、あったあった!やっと見付けて貸出予約をすることが出来たのである。

 てなわけで、やっと手にした『たんぽぽ娘』は、期待にたがわず、実に素晴らしい「珠玉の名作」であった。そしてストーリーは判り易く、ポエムのように美しく流れて、あっという間に読了してしまった。

 主人公は法律事務所を経営するマークという44歳の男性である。彼は毎年四週間の夏休みのうち、前半の二週間は、妻と息子が選ぶ避暑地で親子水入らずで過ごし、後半の二週間は、湖のほとりにある山小屋で妻のアンと二人で過ごす習慣になっていた。
 ところが今年は、アンに陪審員の役が回ってきたため、マークは一人ぽっちで、山小屋で過ごさなくてならない。だがそのお陰で彼は不思議な体験をすることになる。

 それは彼が、湖の先にある森を抜けたところにある丘を散策しているときに起った。そこには古風な白いドレスを身につけ、たんぽぽ色の長い髪を風になびかせている若い女が佇んでいたのだ。
 彼女の名前はジュリーといい、未来からタイムマシンに乗ってやってきたという…。その日から、マークとジュリーは毎日のように丘の上で逢う。そしてマークは年がいもなく、彼女に淡い恋心を抱き始めるのだった。

 ここまで書けば、だいたいの成り行きがわかるだろう。決して不倫小説ではないので念のため。本作は恥しくなるほど純情で優しい、リリカルなラブファンタジーなのだから。
 そして忙しい現代では、いつの間にか忘れ去ってしまった清らかな心を蘇らせてくれる。さらに感動のラストシーンは、タイムトラべルによる循環の輪によって、実に見事に収束されているではないか。

 かなり古い本ではあるが、それこそ時代を超えた珠玉の名作といえよう。さらに付け加えると、この『奇妙なはなし』には、本作のほか福島正美『過去への電話』、つげ義春『猫町紀行』、江戸川乱歩『防空壕』、谷崎潤一郎『人面疸』など、そうそうたる19作の短編が収められている。なぜこんな凄い短編集が絶版なのか、つくづく不思議でならない。

※本評は9年前に書いたものであり、現在『たんぽぽ娘』は復刊している。ただし『奇妙なはなし』のほうは絶版のままのようである。念のため・・・。

評:蔵研人

エロス もう一つの過去4


著者:広瀬正

 アダルトなイメージを彷彿させられるタイトルだが、決してエロ小説ではないので念のため。タイトルは歌の題名なのである。
 著者の広瀬正氏は、タイムトラべルテーマにとりつかれた作家だつたが、残念なことに、1972年に、40代で鬼籍に入ってしまった。生前はジャズバンドのリーダーをしたり、オーディオに凝ったり、クラシッカーの製作を手がけたりと、多才な文化人だったという。

 彼の代表作は、タイムマシンがテーマになっている、『マイナス・ゼロ』というほのぼのとしたユーモアSFで、当時直木賞の候補にもなった。本作はSFといえるかどうか、わからないが、「もしあの時、こうしていれば、こういう別の過去があった」というお話で、これを『パラレルワールド』と考えれば確かにSFと呼べるかもしれない。

 ストーリーはかなり地味だが、いつもながら昔懐かしい、心暖まる昭和ラブストーリーだった。ある意味『マイナスゼロ』のサイドストーリーといっても良いだろう。
 確かに時代背景と場所と一部の登場人物は、『マイナスゼロ』と全く同じだった。それに少年時代の作者自身まで登場するので笑ってしまう。これら一連の流れも、一種の『広瀬流循環作用』なのだろうか。 

 もしあのとき、そうしていれば人生が変わっていたとは、誰もが一度は考えるに違いない。本作でも主人公の橘百合子(赤井みつ子)が、もし映画を観に行かなければ、歌手になれずヌードモデルになっていたというのである。それで現在・過去・現在・もう一つの過去・現在・過去…と小刻みに話が揺れ動いててゆく。もうひとつの過去のほうで、『マイナス・ゼロ』のタイムマシンで跳んだ時代と場所がリンクし、大工のカシラ一家と出会うことになるのだ。

 『マイナス・ゼロ』でも言えることだが、本作の見どころは、過去の分岐だけではなく、昭和初期の様子を余すところなく書き連ねていることだろう。それにしても広瀬正という人は、几帳面というか凝り性というか、当時の有名人から物価まで、念入りによく調べあげたものである。
 当時の市電やタクシーの状況、ラジオや初期の自動車、TVの開発、東京の家賃、ヒットした映画など生活に密着したデーターが満載。さらに阿部定事件から、二・二六事件、支那事変、東京オリンピック中止騒動など、次々と有名な事件が描かれてゆく。

 もちろんストーリー的にも十分面白いのだが、知らず知らずに「昭和東京史」の知識が身に付いてしまうのである。過去に『マイナス・ゼロ』の映画化が企画されたが、余りにも製作費がかかり過ぎるということで没になったという。今なら、『三丁目のタ日』のスタッフ達で映画化することも可能だろうが、知名度の点で実現はちょいと難しいだろうな・・・。
 ちなみに、主人公・橘百合子のモデルになった大物女性歌手とは、たぶん「淡谷のり子さん」なのではないだろうか。

評:蔵研人

タイムトラべラー ~戦場に舞い降りた少年~4

製作:2002年 英国 上映時間:95分 監督:ハーレイ・コークリス
 

 邦題の大げさなタイトルに比べると、原題は『メイの天使』とシンプルで、この映画の全てを語っているかのようだ。なぜこんな長ったらしく、派手な邦題を付けてしまったのだろうか。

 トムの母親は、トムが所属するサッ力ーチームのコーチと愛し合う仲だ。彼女は別居中の夫と正式に離婚し、コーチとの結婚を望んでいる。そんな関係を知っているチームメイトたちに冷かされ、トムはふてくされて、コーチや母親に対しても反抗的だ。
 ある日トムが、奇妙な犬の後をつけて森の中に入ると、そこには暖炉のある廃墟があった。犬に体当たりされたトムが、暖炉の中に転げこむと、なんとそこは第二次世界大戦中の世界だったのだ。

 そこでトムは、孤児で変人のメイという少女と出会い、彼女や彼女の保護者達と数日間一緒に暮らすことになる。人見知り癖のあるメイであったが、なぜかトムにはすぐなついてしまったのだ。彼女にとって、不思議な感じのするトムは、まるで天使のようであったのだろう。だがトムのほうは、次第に元の世界に戻りたくなり、稲妻の光る晩に、現代に再びタイムスリップするのだった。

 せっかく元の世界に戻ってきたトムだったが、現代で「あの時代の衝撃的な事実」を知り、再びメイのいる時代へ跳んでゆく決心をする。タイムスリップするためには、廃墟の暖炉とあの奇妙な犬と稲妻が必要だ。トムが森の中に入ると、廃墟の暖炉の前に薄汚れた老婆が犬と戯れているではないか…。

 この老婆の存在は、映画好きの人ならすぐに、クリストファー・リーヴの『ある日どこかで』を思い出すに違いない。だがこちらの作品のエンディングはハッピーなので、きっと誰もがホッとするはずだ。
 主人公も少年・少女だし、戦闘シーンも兵隊もほとんど登場しない。そのうえハッピーエンドとくれば、これはジュニア向けの作品なのかもしれない。だが大人でも十分楽しめる心温まるファンタジーに仕上っているので、DVDをレンタルしても決っして損はしないだろう。

評:蔵研人


時をかける少女 実写3

製作:2010年 日本 上映時間:122分 監督:谷口正晃 主演:仲里依紗

 今までこのタイトルの映画を何度観ただろうか。筒井康隆の原作が初めて世に出たのは昭和40年代であるが、昭和58年の大林監督作品を皮切りに、なんと4回も映画化されているのだ。
 SFファンタジーなので、余り時の経過が長過ぎると陳腐化してしまう。それで4年前に上映されたアニメ版では、原作を大幅に改ざんして、「原作の主人公の姪」が主人公になり、時代背景も原作から約40年後という設定に変えられた。
 そのお陰で、主人公の女子高生が超ミニをはいても違和感がなく、テンポもよくストーリー的にもかなり好評で、期待以上の興行収入をあげたようである。二匹目のドジョウを狙ったのか、本作も時代背景が現代となり、主人公は「原作の主人公の娘」という設定になっている。

 今回は、原作の主人公(母)が高校生だった時代にタイムスリップするという思い切りの良い設定には好感が持てた。また主人公の仲里依紗は、序盤こそぎこちない演技であったが、切なさと爽快感の双方を併せたような存在感が可愛かったね。それに、『純喫茶磯辺』や『パンドラの匣』のときはポッチャリしていたのに、かなりスリムになりキュートになった気がする。
 それと、中尾明慶扮する涼太の風貌が、昭和40年代の青年そのものであったことには笑えたな。彼はまさに私の青年時代の友人と、そっくりだったのである。

 ただ残念なことに、低製作費のためか、ボロアパートを除けば、ほとんど昭和40年代の風景が出現しない。それからタイムスリップ時の映像も、大昔のTVドラマ風でかなりチープである。また中だるみというのか、恋愛ドラマに力点を置き過ぎた結果なのか、母から頼まれた人物探しも中途半瑞だった。
 しかしながら、探していた人物が登場してからは、急にテンポが良くなり、ストーリー展開も面白くなる。ただタイムトラべルファンとしては、もっとパラドックス風味も織り込んで欲しかったな。もしかすると、脚本創りをした人が、タイムトラべルには余り興味がなかったのかもしれないね・・・。

評:蔵研人

ジョゼフィンと魔法のペンダント3

製作:2005年 デンマーク 上映時間:80分 監督:カルステン・マイラルップ

 まさにお子様ランチとしか言いようのないほど、安上がりなデンマークのファンタジー作品であった。オープニングでは、少女ジョゼフィンがタイムマシンで、少年時代のキリストに会い、友達になったとナレーターが告げるのだが…。

 そしてまた悪魔のタイムマシンを使って、BFのオスカーと一緒に過去の世界へ旅立つ。このタイムマシンは、ただのペンダントで、これを身につけて過去の時代の品物に手を触れると、その品物が存在していた時代に跳んでゆけるという魔法のような代物である。また現代に戻るには、単にペンダントに触れればよいという、非常にシンプルで便利なタイムマシンなのだが三回しか使えないのだ。

 さて果して前作があったのか不明だが、少なくとも本作では、キリストと友人になったという前置きは、全く意味を持たない。それにしても、TVドラマ並の低予算で雑な脚本なのだが、タイムトラべルファンなら、一応タイムパラドクスも設定されているので、そこそこ楽しめるだろう。

 タイムスリップした場所は、オスカーの祖先が住んでいた場所であり、そこで病死したはずの少女を救ってしまうのだ。歴史を改編してしまったために、現代に戻るとオスカーの祖父が生まれていない事になってしまった。当然オスカーも生まれるはずがないので、彼の姿がだんだん消え始めるのだ。ここいらは、完全にバック・トウ・ザ・フィーチャーのパクリだろうね。
 それでもう一度過去に戻るのだが、今度は現代の薬を持ちこんだジョゼフィンが魔女裁判にかけられ、火あぶりの刑に処せられることになってしまうのだ。さてジョゼフィンの運命やいかに…。

評:蔵研人

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